３． ページ3
.
紫side
彼が出てきた時、夕日はもう沈み辺りは暗くなっていた
ベンチに２人で座って温かい缶のコンポタージュを渡す
紫「大丈夫。飲んでええよ寒いやろ？」
「…いただきます……」
大きな目に細くて長い手足
腕や足にはアザや火傷のような傷があった
紫「君、名前は？」
「……分からへん」
紫「え？」
「分からへんのや……
ある日突然知らない大人達と車に乗って……
施設に連れてかれた…
怖くて…怖くて……逃げ出してきた…」
震えながらそういう彼
俺が想像出来ないぐらい残酷な
卑劣で悲しい現実を
多分この子は目の当たりにしてきたんや
そう考えるだけで胸が傷んだ
紫「…君…俺と一緒に来るか？」
「…え？」
紫「俺には５人の家族がおるんや
オトンもオカンも居らんけど５人で必死に生きてる
楽しいで。ホンマに」
「…でも……」
紫「多分俺の家族なら君を受け入れてくれるやろうし
きっと笑顔にしてくれるはずやで」
「…笑顔……」
紫「そう、笑顔にな
帰るとこないんやろ？
やったらこれからは俺の家が君の帰るところや」
俺がそう言うと彼は「うん」と小さく頷いた
彼の手を取って家へ向かう
「…ホンマに大丈夫？」
紫「おん、大丈夫や」
彼の冷たくて小さくて細い手をぎゅっと握り
俺は家のドアを開けた
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 809人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぴこ - リクエストありがとうございます！！めちゃめちゃ面白かったです！こらからも頑張ってください！ (2018年10月24日 3時) (
レス) id: 29298ada25 (このIDを非表示/違反報告)
らゅは - こんな設定は初めてで楽しく読まさせていただいてます。リクです。しげが胃腸炎に罹ったけどのんちゃんが熱を出してて兄組がバタバタしてるから言い出せず我慢して、学校でお腹壊して倒れてしまうというのが見たいです。解決はしげじゅんでお願いしたいです。 (2018年10月24日 2時) (レス) id: 0cb6f99dee (このIDを非表示/違反報告)
蘭芽(プロフ) - あんまり食べなくなったなという違和感はあれど自傷行為はバレることもなく嫌がらせ等も終わることがなく暫く立ってついに照史が意識不明になって他の人達が真実に気づくって感じでお願いします (2018年10月21日 7時) (レス) id: 568cceb099 (このIDを非表示/違反報告)
蘭芽(プロフ) - リクです。周囲から自分含め家族の悪口を言われていたり嫌がらせをされているのを知っているが他の家族にはバレないよう気を張っていたり自分一人で片付けたりしていると段々疲れとストレスが溜まって自傷行為に走るが普段通り他の人とは接するので (2018年10月21日 7時) (レス) id: 568cceb099 (このIDを非表示/違反報告)
takiiasuka(プロフ) - 神ちゃんが喘息の発作がでているのに必死にかくし続けるんですがるんですが、しげにはバレてしまって、秘密にしといてって言うんですけど結局倒れてしまって症状が重い感じのやつが見たいです！語彙力ほんとになくてごめんなさい！笑全然かえてもらっても大丈夫です！ (2018年10月20日 17時) (レス) id: 34afe1d753 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：raf.
| 作成日時：2018年9月28日 0時
