７BAKERY

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〈過去編〉



紫side









子供は産まれてくる場所を選べない





親を選べない









何でやろうな




全ては運ってことやろ








やったら俺は完全にハズレくじを引いた








俺の家はホンマに貧乏で




電気やガス、水道が使えないことなんて珍しくなかった








これは今の家族に出会ってから知った話なんやけど




俺は戸籍がなかった







それは、１人の人間やって日本の国民やって認められてないってこと









やから、教育というものに触れ合ったことなんてないし





学校に通ったことなんてもちろん無かった









いつだか忘れたがオトンは仕事に出ていったっきり帰ってこうへんくなって





オカンは夜に家を出て昼頃帰ってくる








家にはいつもひとりやった







友達なんていない






俺のオカンは俺の存在を隠してるみたいで外に出るのも許されへんかった









オカンは毎日酒とタバコの匂いを纏って家に帰ってきて






「お前なんて産まなきゃよかった」



「早く死んでくれへんかな」






そんな暴言を俺に毎日のようにぶつけてきた









さらに機嫌が悪い日は火のついたタバコを身体中に押し当ててきて





思わず叫ぶと口と手にガムテープを巻かれ押し入れに入れられる







そんな生活を続けていた







時間の感覚、曜日の感覚なんてあるはずもないから






この拷問を何年受けてたのかは分からへん









そんなある日、オカンが家に火をつけた






薬をやってたみたいでその副作用から異常な行動を取ってしまったらしい









俺は押し入れの中にいて






熱さの中もがいてなんとか外へ飛び出した









裸足で焦げた服を来て必死に走った







途中で力尽きて俺は意識を失ったが次、目覚めた時に目の前にいたのは今の家族やった







俺は亡くなったオトンに倒れているところを救われた









今の家族に出逢えたんや









それから、オカンのことは知らない





いや、知りたくない








知ってしまうと憎しみで俺はオカンを殺めてしまいそうな気がするから






俺の背中に大きく残る火傷の後





オカンとの思い出なんてそれだけでええんや









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