. ページ19
.
病院に着くとシゲのおかんがいた
神「…お母さん」
重母「あぁ、お疲れ様」
神「大毅は？」
重母「…大毅な先月から野球辞めるように言われてん…」
シゲのおかんから言われることは衝撃的なことばかりだった
重母「心臓の調子が悪くなってるから運動は辞めときって言われとったんやけど大毅は絶対いややって
その意志は私たちがどれだけ言っても曲げなかった
絶対甲子園行くんやって 野球で死ねるんやったら本望やって……
ケガだけはしないように言ってたんやけどこの前の試合のデットボールで心臓に小さな穴が空いたみたいで
普通の人はそこまで危険じゃないんやけど大毅の場合は……」
知らない間に泣いていた
神ちゃんも
世界って不公平だなって思ってしまった
あんなにも真っ直ぐて真面目で努力し続けてきたシゲがこんな目に合わなきゃいけないなんて
神「…大毅は今？」
重母「薬で眠ってるよ…声…かけてあげて」
シゲの病室に入る
ついさっきまであんな大舞台で懸命に投げ終えた投手とは思えない様で
沢山の機械に繋げられ眠っていた
神「…シゲ……ｸﾞｽｯ…はよ起きろ…お前がいなきゃ…甲子園で戦える訳ないやろ……」
泣きながらシゲの手を握りそういう神ちゃんをただ立ち尽くして見ることしかできなかった
シゲは目覚めることなく迎えた甲子園での全国大会
私たちの懸命に戦った
シゲのために
シゲのおかんは病室でその映像をシゲに見せるように見ていてくれたらしい
全国の名だたる強豪校はやっぱり強くて
エース不在の私たちのチームがかなう訳もなく私たちは一回戦で敗れた
神ちゃんは甲子園の砂を沢山持って帰って
２人で急いでシゲの病室に向かった
シゲは意識不明なままだったけどきっと
いや、絶対
私たちのこと見てくれてたよね
神ちゃん甲子園でホームラン打ったんだよ
負けたけどみんなカッコよかったよ
神「甲子園の砂…これだけでも持っとき
シゲがいなかったら甲子園にも出れてないからな
おおきにな」
そう言って甲子園の砂をシゲの枕元において私たちは病室を出た
それから２日後
シゲは家族と野球部のメンバーに看取られ亡くなった
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 447人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美奈(プロフ) - 涙が止まりません しげの心臓の病気で亡くなった時はとても泣きました (2018年10月14日 23時) (
レス) id: a9a9a6f40c (このIDを非表示/違反報告)
碧(プロフ) - たまちゃんさん» コメント本当に嬉しいです。こんな短編集で泣いて頂けるなんて感無量です。こちらこそ本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いします。 (2018年8月3日 23時) (レス) id: b442d333ac (このIDを非表示/違反報告)
たまちゃん(プロフ) - とっても感動しました。特にシゲの小児がんのお話、涙が止まりませんでした。私も強く生きようと思えました。ありがとうございました。 (2018年8月3日 2時) (レス) id: faa7b83006 (このIDを非表示/違反報告)
Nakonosuke(プロフ) - 碧さん» 自分でも似ている部分があると思ったところは非公開にしました。いえ、こちらこそ温かい対応ありがとうございました！これからも作品を心待ちにして読ませていただきます！はい！頑張りましょう！！ (2018年8月2日 23時) (レス) id: 8ee443cb09 (このIDを非表示/違反報告)
碧(プロフ) - ☆NON☆AYAKA☆さん» 長文のコメント本当にありがとうございます。しげの話は私も書きながら胸が締め付けられる気分でした…。これからもまだ続くので移行後も読んでくだされば光栄です。 (2018年8月2日 23時) (レス) id: b442d333ac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：raf.
| 作成日時：2018年7月25日 21時
