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ホテルの部屋はとても綺麗で、
平凡な私たちには
すこし不釣り合いなくらいだった。
『お腹すいたー』
｢ご飯もうすぐだよ。
絶対美味しいの出るよね。｣
『楽しみー』
おーちゃんは文にしたら
語尾に音符がつくようにそう言った。
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『『こちら、鮭の………でございます。』』
ホテルの夕食はフレンチだった。
専門用語のような言葉をサラーっと言われ、
私とおーちゃんは顔を見合わせた。
『何言ってんのか全然わかんなかった。』
｢ね。鮭しか聞こえなかったよ。｣
『ま、食べちゃえば関係ないから。』
｢確かに！いただきまーす。｣
家では焼いて終わりの鮭が
今日は色々な野菜と共にお皿に乗っている。
口に入れた瞬間とろけるくらい柔らかくて
自然と笑みがこぼれた。
｢美味しいねぇ。｣
『…うん、美味しい。』
｢そうだ！また釣り行きたい！｣
『行こう行こう』
その後も、今まで食べたことのないような
料理が運ばれてきた。
その度にその美味しさに感動した。
そして、
デザートのオレンジが添えられた
シャーベットを完食し、
私たちは部屋に戻った。
｢ふぅ。満腹。｣
私がベットに腰を下ろすと、
おーちゃんが目の前に
ビニール袋をぶら下げてきた。
｢ん？なにこれ。｣
『酒。飲もうよ。』
｢え？
おーちゃん、お酒嫌いなんじゃないの？｣
『そんなこと言ったっけ。』
｢いや、言ってないけど…｣
おーちゃんはいつも一滴も飲まなかった。
私がどんなに飲んでいても、絶対。
だから勝手に飲めないのかと思っていた。
｢ごめんごめん。飲もっか。｣
そう言っておーちゃんの後に続き
ソファに座り、ビール缶を受け取った。
『ん。乾杯。』
開けてくれた缶を
おーちゃんのものにコツンと合わせた。
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作者名：ぐぐ | 作成日時：2019年3月12日 11時
