あなたが私を知っているのなら[のんびり更新] (ページ3)

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私たちは公園から少し歩いたところにある定食屋に入った

智と私がお気に入りにしていた店だった

智が亡くなってからは入る気が起きず、前を通るのも嫌だった

でも今日は、なぜか吸い寄せられるようにこの店にはいった

『何頼みます？おごります』

｢あ、じゃあ日替わり野菜定食で。
でも別に奢ってもらわなくていいです。｣

『俺はカレーにしよっと。すみませーん。』

まるで聞いてない

注文し終えた彼は私の方を見てふにゃって笑った

『今日は本当にありがとね。助かった。』

｢いや、携帯貸しただけなんで…｣

『それが助かったって言ってるの笑』

ふふって笑った彼に、またさっちゃんの面影を見つけてしまい、下を向いた

タイミングよく運ばれてきたから
私は水でのどを潤した

｢あの…なまえ…教えてください｣

『おーちゃん』

｢…え？｣

まさかあだ名を伝えられるとは思ってもいなかったから
ぽかんと口を開けて彼を見つめてしまう

『友だちとはなしてるときはそーだった』

｢あ、そうなんですね｣

『Aちゃんはさ、何をしてる時間が一番好き？』

突然そんな質問をしてくるから
私は黙り込んでしまった

今、好きな時間なんてない
幸せになれる時間なんて…ない

でも、さっちゃんとの想い出を辿っているときは少しだけ心が明るくなる

｢死んじゃった彼氏のことを考えてる時です。｣

私何言ってんだろう
さっき会ったばかりの人にこんなこと

『そうなんだ。今もその人のことが好き？』

そんなの決まってる

｢はい。大好きです｣

こんなに引きずる女、
さっちゃんはどう思うかな