あなたが私を知っているのなら[のんびり更新] (ページ2)

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目の前にいるその人は
私が3年間ずっと考えていた人

忘れたくても
忘れることなんてできない人

「…どう…し…て？」

その人は困った顔をした

『あの…どこかで会ったことありますか？』

「え…？何言ってんのさっちゃん。
私、清宮A！覚えてないの？」

『すいません…わからないです』

そうだよね
私、何言ってんだろ

さっちゃんはもうこの世界にはいない

会えるはずなんてない

それはよくわかってる

『清宮さん…？』

でも、全部一緒なんだよ

『お願いがあるんですけど…』

「お願い…」

『携帯、貸してもらえませんか』

「え…どうして」

『ちょっとかけなきゃいけないところがあって。
もう7人目なんですけど、
怪しがって誰も貸してくれないんです。』

そりゃ当たり前でしょ
って思ったけど

さっちゃんの顔…
さっちゃんにそっくりな顔を見ていたら

いいですよって言ってしまった

『やったぁ～、ありがとうございます』

私は替えたばっかのスマホを渡した

さっちゃんの連絡先はもう入っていない

『あっちで話していいですか』

そう言って滑り台の方に行ってしまった

オレオレ詐欺の電話をしているのではないか

そんな不安が頭をよぎる

でも、帰ってきたときの笑顔は
私が大好きなものだった

『ほんとにありがとうございました』

「いえ…」

『あの、なにかお礼します』

「そんなの大丈夫です。
ただ携帯を貸しただけですし…」

『いいから…ね？』

もしかしたら私はこの展開を期待して、
携帯を貸したのかもしれない