偶然からはじまる恋〜羽生結弦 (ページ9)

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彼の正体2 ページ9

緊張しつつも雰囲気が柔らかいので意外と話しやすい。
今日買ったものなんかを話している時、ふと気がつく。

羽生選手、こないだのニュースでまた足首悪くしたって言ってたよね…。
こんな硬いエレベーターの床なんかに直に座るのって、身体にあまり良くないんじゃ…いや、絶対良くない！

さき「あの！良かったらこれ使ってください！！」

買ったばかりの座る用のクッションをショッパーから取り出す。
小さめだから２つ買ったものだけど、羽生選手お尻小さいし座るのは問題ないよね。
明らかに私より小さいし…。

(羽生)「いやいや！そんなの申し訳なくて座れないよ！笑
さきさん座ってください。」

差し出したクッションをグイっと戻される。
あ、さすがにこれはちょっと厚かましかったかな…。

さき「…そうですよね、すみません。」

潔く受け取ろうとしたけど、

(羽生)「あ〜ごめん！別に迷惑とかじゃなくて、女性を差し置いて俺だけ座るとかあり得ないからさ！
そんな顔しないでください。笑」

思ったことが顔に出やすいと昔から良く言われる。
悲しい顔になってたみたい。
返って気を使わせちゃったかな、でも眉毛を下げた彼の顔を見ると本心で言ってるように思える。

ちょっと迷ったけど、身体を痛めたら私が後悔しそうだし…。
ショッパーを再び広げて、同じクッションをもう一つ取り出す。

さき「実はもう一つあります。笑
わたしもこれに座るので、羽生選手それ使ってください…！」

(羽生)「え、そうなの笑
じゃあ…ありがたく使わせてもらいます！」

今度は受け取ってもらえて、お互いお揃いのクッションに座る。
外袋のまま座ればクッションも汚れはしない。
お尻が柔らかいだけで閉じ込められてるストレスも軽減した気がした。