偶然からはじまる恋〜羽生結弦 (ページ46)

今日:20 hit、昨日:3 hit、合計:27,151 hit

2週間6 ページ46

結弦くんからレシピが送られてきて、確認しているとその下にもう一つ吹き出しが出ていることに気づいた。

え、え！
わたしが作っていいの？
…食べてくれるの？

いつか、って書いてるからこんなの社交辞令かもしれないけど、私はすっかりその気になっていた。

このレシピで練習して、結弦くんに出しても恥ずかしくない位に上手くできるようになったら食べてほしいな…。

結弦くんにレシピのお礼と、披露するなら練習してからにします！ってメッセージして。
後はひたすらレシピと睨めっこしていた。

それからは普段平日はほとんど料理しないくせに、結弦くんに送ってもらったレシピを一つ一つ試す2週間だった。

おはようとおやすみと、その日にあった出来事なんかをお互いメッセージで送り合って。
電話も２回結弦くんがかけてきてくれた。

結弦くんが仙台に行ってしまったという期間は、すぐに会えないんだって思って少し寂しくなったり。

なんだかもう付き合ってるみたい、なんておめでたいことを考えてご機嫌な毎日だった。

だけど、ようやく明日、待ち望んだ結弦くんとご飯に行けるって朝からテンションが高かった金曜日。

夜遅くに家に帰った私は、電気をつける気力もなくて、真っ暗な部屋でそっとベッドで丸くなっていた。

大事な時用の高いヘアトリートメントをして、しっかりパックして、お気に入りのボディクリームも塗って、次の日の洋服をゆっくり選ぶはずだったのに。

これ以上ないくらいに凹んでいる原因は、今日の昼にある。

会社でそろそろお昼に行こうと同僚と共にエレベーターに乗ろうとした時。
入れ違いで降りてきたのは本社の人用の社員証を下げた人達。

今日会議でもあったっけ？って思いつつ、一応エレベーターに乗るのは後回しにフロアの奥へ案内すると、見えてきたのは上司の焦った顔。

本社から監査の担当者がいわゆる抜き打ち検査にやってきたのだった。
簡単に言えば、本社の目の届かない支店だからちゃんと仕事をきっちりしてるかっていう確認。

ランダムに調査は入り、不運なことにわたしの担当している業務の資料も対象となることになった。

こうなるとしばらくお昼は行かない。
もう少し早くお昼に出ればよかった、なんてこの時はまだ呑気なことを考えていた。