偶然からはじまる恋〜羽生結弦 (ページ44)

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結弦くんからの返信で、やっぱり有名人は何をするにも大変なんだな、と気の毒に思った。

そうだよね、気軽に買い物も行けないんだ。
きっとスーパーだと主婦がたくさんいるから結弦くんだとバレる確率も上がっちゃうんだろうな。

コンビニの方が滞在時間短いし。

なんて当たり障りのない感想だけを自分の心から拾うけど、見て見ぬ振りできない感情がムクムクと膨らんでくる。

これってやっぱり私がご飯作ってあげるとか、ダメかな…。
結弦くんともっと仲良くなりたいっていう邪な考えはもちろん大いにあるんだけど、でも純粋に頑張ってる彼を少しでも助けてあげたいって思った。

偶然知り合っただけの分際でおこがましいのは百も承知。
だって本当にそう思っちゃうんだもん。

きっと見る人関わる人にそうやって、応援したい、何かしてあげたい、頑張ってほしいって思わせちゃうのが結弦くんの生まれ持ったものなんだろうな。

とりあえず、このままLINEで私がご飯を作ろうか？なんて申出できるほど心臓は強くないから、それとなく匂わせて。

『そっか、やっぱり忙しいし大変だよね。。
私は休日におかずを作り置きしたりするよ！
今日もずっとキッチンに立ってました笑
でもアスリートがどんなレシピで作ってるのか、イマイチわからないなぁ…。』

うん、私が作ってあげるとは決して言ってない。
そう聞こえるけど。
でもあくまでレシピが気になるってだけだし、これで結弦くんが乗ってこなかったらそれまで。

だけどもし、作ってほしいって反応されたら…。

私がキッチンでご飯を作ってあげている間、昨日のエレベーターのようにプーさんのクッションに座って待つ結弦くんの姿を思い浮かべる。

そしてご飯ができたらローテーブルで一緒に食べて、おいしいよとか笑って言ってくれたりなんかして…。
だけど結弦くんはちょっと意地悪なところがあるから、素直に褒めてくれるのかな？

なんて妄想を広げて調子に乗った私は、ついでに結弦くんのお家パターンもニヤニヤと考える。

きっとスーパーへ一緒には行けないだろうから、買い物は私が一人で行ってきて。
優しい結弦くんのことだから、マンションのエントランスまで降りてきてくれるだろうな。
荷物を持ってくれて、いらっしゃいって迎えてくれるんだ。

食材が入ってない冷蔵庫に苦笑したり、何作ってくれるの〜って聞いてくる結弦くんにきゅんきゅんしたり。

やばい、妄想だけでお腹いっぱいかも…。