偶然からはじまる恋〜羽生結弦 (ページ39)

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初めての電話2 ページ39

さき「えっと、それはうれしいです…。
あの、実はさっきのテレビのお店を友達に行こうよって連絡しようと思って、LINE開いたらちょうど既読しちゃって。笑」

だから焦ってました。笑
なんて苦し紛れに嘘をつく。

こうやって電話ができたのは本当にうれしいけど、結弦くんからちょっとでもストーカーだと疑われることは何としても避けたい。

(羽生)「うん、俺もさきちゃんからのLINEみてテレビつけたよ。
あんな感じの和食のお店に一緒に行きたいんだけど、いいかな？」

さき「あ、はい、ぜひ！
違うお店ですか？」

(羽生)「そう、知り合いにおすすめしてもらったお店があるんだけどなかなか行けてなくてさ。
…良かったら付き合ってほしいなって。」

電話越しにちょっと囁くみたい話す彼。
付き合ってってそんな意味で言ってるわけじゃないのは分かりきってるけど、私の脳は勝手に都合よく捉えて心拍数を上げ始める。

さき「わ、わたしで良ければ喜んでお供します…！」

そう伝えた返事は少し上擦った声になった。

(羽生)「ふふ、ありがとう。
2週間後の土日、どっちか夜空いてない？」

さき「日曜日は友達と予定があるんですけど、土曜日なら大丈夫です！」

テーブルに置いてある手帳を確認しながら答える。

(羽生)「ほんと？よかった！
じゃあそこの土曜日、お願いします。笑」

最後だけちょっと結弦くんの声がくぐって聞こえた。
もしかしてまたペコって頭下げてるのかな、なんて想像したらちょっとおもしろい。

さき「ふふ。こちらこそです！」

その後は先ほどまでの会話の続きをひたすら話して、気づいたら敬語もかなり抜けていた。

さき「あ、もうこんな時間！」

楽しく話していて時間の経過に気づかなかった。
不意にお腹が空腹を知らせて、時計を確認すると1時間も経っている。

(羽生)「本当だ！ごめんね長いこと付き合わせちゃって…！」

さき「いや、私も楽しくて全然時計見てなかった。笑」

(羽生)「そっか、それはうれしいな…。
じゃあゆっくりご飯食べてね？笑」

ちょっとクスクス笑いながら結弦くんに言われて、思わずお腹を抑えた。
最悪、お腹鳴ったの聞こえてたんだ…！

ボッと熱くなる顔を手で仰ぎながら、じゃあまた2週間後、楽しみにしてるね。と電話を切った。

結弦くんとデートの約束、しちゃった…。
お腹も空いてるけど、それ以上に何着て行こう？で頭はいっぱいだった。