偶然からはじまる恋〜羽生結弦 (ページ37)

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初めてのLINE 4 ページ37

羽生サイド

少し経って、またスマホが震えた。
やっぱりあんなメッセージを送っても、彼は相変わらず優しかった。

『ゆづ〜久しぶりやん！！
相変わらず用件だけやな。笑
俺もよく行くんやけど、ここは自信持っておすすめできるめちゃくちゃ良いお店やで！』

信くんがそのおススメというお店のURLとともに、そう送ってくれた。
見てみると、うん、確かに俺が考えていたイメージ通りのとても雰囲気が良さそうなお店だ。

ここにしよう！と考えていると、続けてメッセージが入った。

『さてはゆづ、気になる女の子でもできたん？笑
お店の人に頼んで裏口から行ける個室抑えといてもらおうか？』

…何も聞かないでって言ったのに。
だけどこの信くんの申出はありがたい。

たとえ彼女との関係が進展してもしなくても、俺と一緒にいるところをメディアに撮られたら絶対的に迷惑をかけてしまう。
もちろん進展させる気満々だけど。

1人でいる分には、まあもちろん周りの反応にもよるけど、多少めんどくさい事態にはなる位でスキャンダルでもないから大して問題ではない。

だからこそ、今日2人で普通にジェラート屋へ行ったのはとても危険な行為だった、と今になって反省する。

…でもあれは行かなきゃさきちゃんと仲良くなれなかったから。

とにかく、バレないようにこういう面では念には念を入れておきたい。

『うん、それはありがたい。
日にち決まったらまた連絡するからお願いしていい？』

一文目には触れずに返信。
自分で言うのもなんだけど、これ生意気な後輩だよな〜。

なぜか信くんには昔からこんな態度をとってしまうけど、怒られたことは一度もない。
金メダルを取っていくら周りの対応が変わっても、信くんはそれまでと変わらず同じように接してくれて。
数少ない、本当に信頼できる仲間の1人だ。

それにあぐらをかいて生意気やってる俺も俺なんだけど。

『おう、任しとき！
今度の新潟で話聞くからな〜笑』

…そうじゃん、次のアイスショー信くんも一緒だった。
嬉々として絡んできそうな姿が容易に想像できてちょっとテンションが下がるけど、そうと決まれば早くさきちゃんに返信しなきゃ！

さきちゃんとのトーク画面を開きつつ、頭の中で自分のスケジュールを確認する。

火曜までは東京、水曜から次の月曜までは仙台。
その後は丸々1週間また東京だ。
それを過ぎると信くんと一緒の新潟へ飛ぶ。

となると2週間後の週末しか会えないぞ！