偶然からはじまる恋〜羽生結弦 (ページ36)

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初めてのLINE 3 ページ36

羽生サイド

メッセージを送った後、そわそわと気になって何度もトーク画面を開いてしまう。

…あ！既読になった！
このままトーク画面を開いてると、さきちゃんからメッセージが送られた瞬間に既読を付けてしまう。

ずっとトーク画面を開いていたことが丸わかりで気持ち悪いだろう。
慌てて画面を閉じる。
…今度は返信が今か今かとそわそわするんだけど。

チラチラ真っ黒い自分のスマホを見てると、しばらくして不意に画面が明るくなりブーンと震えた。
返信きた！！

すぐにさきちゃんからのメッセージを確認して、まずは誘いを断られなかったことに喜ぶ。
そして…

(羽生)「…テレビ？」

急いでテレビのリモコンを手に取る。
何チャンだろう？

くるくるリモコンでチャンネルを回すと、すぐにグルメ番組にたどり着いた。
画面に映るのはこってりとしたチーズグルメ。
最近よく見かけるタレントさんがチーズをこれでもかと伸ばしながら、食リポしている。
この人ついこないだテレビ局で会ったな。

都内の最近オープンしたお店をランキング形式にして紹介しているらしい。
どうやらさきちゃんが言っていた和食のお店の紹介はすでに終わってしまったようだ。
それでも、きっと同じテレビ番組を家でさきちゃんも見ていると思うと、時間を共有している気がして少し顔がニヤけた。

すぐにスマホでネットを開いて、この番組で紹介されていたであろう和食のお店を調べる。
なるほど、ここか。

お店のメニューを確かめて、なるほど確かに美味しそうだと頷く。
食にあまり興味はないけれど、和食は俺も昔からわりと好きだ。

同じお店に行くのもいいけど、テレビで紹介されたばかりってなると混み合うだろうな〜。
それにそのままこのお店にしよう、というのもなんだか芸がない気がする。

しばらく悩んだ末、助けを求めてある人物にLINEを入れる。

『久しぶり。
とりあえず何も聞かずに東京で雰囲気の良い個室とかある和食屋さん教えて。
メニューはこういう感じのがいい。』

さっきテレビで紹介されていたお店のメニューの画像を添付して、そんな不躾なメッセージを送信。

彼はこんな内容でも気を悪くしないでいつも優しい先輩だ。