偶然からはじまる恋〜羽生結弦 (ページ21)

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ジェラート10 ページ21

羽生サイド

やべ〜ちょっといきなり馴れ馴れしすぎたかな。

付き合ってもないし、ましてや今日さっき出会ったばかりなのに…。
うん、多分これは行動を間違えた。
…引かれてたらどうしよう。

小さい頃からスケート仲間とはそれこそ兄弟のように仲良くしてきたし、カナダに渡ってからは海外独特の距離感に触れ、今ではもうすっかりそれが身に染み付いてしまった。

そのせいで、特に日本では自分の感じる距離感が一般的なそれより近いことを、何となく自覚はしていたけれど。

(羽生)「いや、、ごめんね。気にしないで自分のスプーンで食べて？」

ちょっと難しい顔になってしまったさきさんにそう促し、行き場を失った自分のスプーンを自分の口へ持っていく。

ようやく動き出したさきさんも、自分のスプーンでみたらし味をすくいながら、

さき「…あの、わたしほんとに、さっきのぜんぜん嫌とかじゃなくって…。」

ただ…彼女さんにも申し訳ないなって思って。
と、ぽつりと言ってそのすくった一口を食べる。

さき「あ、本当にみたらし味だ！
おいしい〜！
え、これわたしハマりそうです…！笑」

なんて、ちょっと興奮したように目をキラキラさせるけど。

…彼女ってなんのこと？

(羽生)「え…？ねえさきさん…。」

さき「なんですか？というか、これ本当最高です…！」

すっかり黄色いそいつに気を取られているのか、こっちも見ずにジェラートをまたすくう。

(羽生)「…うん、そっかそれは良かった。
俺もう結構食べたから、残りはさきさんどうぞ。」

これは一旦さきさんが食べ終わるまで待とう。