偶然からはじまる恋〜羽生結弦 (ページ19)

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ジェラート8 ページ19

羽生サイド

(羽生)「お茶も買ってきてくれたんだね、ありがとう。」

３つのジェラートと一緒にトレーに乗せられた、２つのカップ。

さき「あ、はい！でも何がいいのか聞きそびれちゃったので、無難に緑茶にしました。笑」

本当はコーヒーも紅茶も結構種類あったし、フルーツオレとかもあったんですけどね〜。
なんて眉を下げて申し訳なさそうにさきさんが言うけど、多分そのレパートリーの中でも俺は緑茶を選んだと思う。

カップを手にするとほんのり温かい。
冷めたいとばかり思っていたから、少し不意打ちを受けた。

そんな俺の顔を見て、

さき「あ、身体が冷えすぎちゃうかなと思ったので、ぬるめにしてもらいました。」

ホットだとジェラートとの温度差で口がびっくりするかなって。
と笑うさきさん。

うわぁ〜。なんていうか…うん、この子すごく気が使えるな。
色々なことを先回りして考えてるのか本当に気が利くし、それが押し付けがましくない。

エレベーターでもそうだったけど、きっと普段から周りの人のことをよく見ているんだと思う。
勝手に心の中で拍手を送る。

勝負の黄色いジェラートの前に、まずいただくのは本命のストロベリー。

(羽生)「ん〜暑かったから冷たくておいしい…！」

さき「はぁ〜抹茶もおいしいです！！
私ちゃんとしたお店のジェラートなんて久しぶりに食べた気がします！」

なめらかな舌触りだけど、いちごの果肉が所々に入っていてたまに食感が変わるのが楽しい。
もちろん味も甘すぎなくて…フルーツの甘さでできてるのかな？

さきさんも目を閉じてうんうんと抹茶の味を確かめるようにジェラートを味わっていて、その真剣さがなんだか可愛い。

(羽生)「…よし、じゃあそろそろこいつとの勝負だ！笑」

一度ほんのり温かい緑茶でストロベリーをリセットさせて、この謎の黄色いジェラートをスプーンですくう。

特に果肉は入ってないな。
フルーツ系じゃないのか？

首を傾げつつ、そいつを口へ運ぶ。

(羽生)「……ん？なんだこれ？」

てっきり黄色だからバナナとかレモンとかのフルーツを想像していた俺は、思ったのと全く違う味に困惑する。

さき「ふふ！当ててみせるんじゃなかったんですか〜？笑」

困惑する俺を見て、さきさんが楽しそうに笑う。

その顔はめちゃくちゃかわいいけど！
でも何事も負けたくないんだって！