偶然からはじまる恋〜羽生結弦 (ページ16)

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ジェラート5 ページ16

さき「はーい、りょーかいです！」

じゃあちょっと行ってきます。と席を立とうとすると、

(羽生)「あ、ちょっと待って〜」

なにやら小さなポーチをガサゴソして、真っ黒いお財布を出す。

(羽生)「はい、これで買ってきて？」

渡されたのは5000円札。

(羽生)「今細かいのなくてさ、諭吉さんか一葉さんしかいなかった〜笑」

さき「一葉さん…。や、アイスくらいわたし買ってきますから、別に大丈夫ですよ？」

お札を名前呼びする人初めて見た。
確かにこの施設は全体的に価格高めだけど、アイスくらい値段はたかが知れてる。
羽生選手の言い方を借りれば、せいぜい英世さん2人分だ。

(羽生)「俺が無理言って誘ったんだし、ここは奢らせてよ。」

こう見えて結構稼いでるんだよ〜？笑
なんてドヤ顔で言われる。

…まあお釣り返したらいっか。
確かに大した額じゃないから、ここへお言葉に甘えて奢ってもらっちゃおう。

さき「…わかりました、ありがとうございます！
後でレシートと一緒にお釣り返しますね。」

なんかその辺きっちりしてそうだし。
小さい頃からおこずかい帳とかつけてそうなタイプ。

(羽生)「あ、いいよ。小銭とかあんま持ち歩きたくないし、俺。」

エレベーター閉じ込められたお見舞いってことで。笑
なんて早々にお財布をしまって、早く食べたいから買ってきて〜っておねだりされる。

いや、お見舞いなら羽生選手もだし、そもそも貰う相手が違うし。
でも小首をかしげてそう訴えられると、とりあえず今はお釣りは置いておいて席を立つ。

羽生選手って意外と頑固そう…。
言い方は優しいし穏やかだけど、自分の主張を曲げないで押し通そうとする感じ…？

あれはきっとお釣り受け取ってもらえないだろうな。
だったら出来るだけここでお金を使った方がいいと思う、うん。