(5/22更新)僕らの恋はいつも嘘が付きものー立花慎之介

君の描く絵 ページ35

それから数日後の昼下がり









慎之介『なに描いてんの？』









『んー？こないだのイルミネーション！』









慎之介『え、これお前が描いたの？』









『そうだよ？』









慎之介『上手い．．．そんな才能がお前にあったとは』









なんて言って私の頭をぐしゃぐしゃってするから花ちゃんの手から逃れるように身体を捻る









『絵くらい私だって描けるし』









慎之介『だーかーらー、褒めてんだろ？』









『出来ないみたいな顔で見てたじゃん．．．』









慎之介『そんな顔で見てないって』









『見てた』









慎之介『見てない』









『見てた！』









慎之介『見てない！』









『ん！』









突然Aが立ち上がって描いてた絵を外したと思ったらその絵を俺に差し出した









慎之介『なに？』









『あげる』









慎之介『え？』









『上手く描けなかったからあげる』









それだけ言うとAは部屋に戻ってしまった
なんだよ、上手く描けなかったからあげるって
てか、これのどこが上手く描けなかったんだよ
むちゃくちゃ上手いじゃん
俺、あんまり絵の才能とかないし知識も乏しいけどこの絵が上手いってことだけは分かる
繊細な色使いがなんとなくAの優しさに似てる
何だかんだ言っちゃうけどAって器用だよな









こないだ花ちゃんと見に行ったイルミネーションがすごく綺麗で思い出に残しておきたいって思って筆を取った
でも、やっぱりずっと絵からは離れてたから上手く描けなくって、ほんのちょっとあの日の苦い思い出を思い出して花ちゃんにあげてしまった
まだ描きかけだったのに
未完成だったのに
でも、あの絵は未完成のほうがいいのかも
未完成のがまだ物語を描ける
まだ夢の続きを描き続けれる

春の風邪は少し厄介らしい→←今宵は特別

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