(5/22更新)僕らの恋はいつも嘘が付きものー立花慎之介

今宵は特別 ページ34

慎之介『ほらベッド戻って』









『ねぇ、花ちゃん？』









慎之介『ん？』









『一緒に寝てって言ったら怒る．．．？』









慎之介『はぁ？』









『やっぱりいいや！おやすみなさい』









部屋に戻ってしまったAを見て
ふと夕方のことを思いだした
寂しかったのかもしれない
怖い夢を見て１人じゃ居られなくって俺に助けを求めてきたのかも
それだったら一緒に寝てあげるべきなんだろう
俺は台本をバッグにしまってAの部屋に向かう









慎之介『起きてる？』









そっとドアを開けるとAはまだ眠ってはなかった
ただなにか考え事をしているような感じにも見えた









『花ちゃん、どうしたの？』









慎之介『いや、一緒に寝てやろうかななんて』









『いいの？』









慎之介『嫌ならいいけど』









『いい！一緒に居て？』









慎之介『ん』









本当は心配になった
だけどそれをAに伝えるのがなんだか恥ずかしくって嘘を付いた
ただ傍に居てやりたかっただけなのかもしれない
暫くAのベッドサイドで俺はAの頭を撫でてた
いまこうやって俺とAは一緒に暮らしてるけどこの出会いだって奇跡なんだよな
当たり前が当たり前じゃなくなってしまった時俺どうなっちゃうんだろう
こうやってこいつの無防備な寝顔を見ている時間でさえいつか無くなってしまうのかも
不安があってもなかなか俺には話そうとしないAだからこそちゃんと見ててやらないとダメなんだと思う
どんな夢を見てたんだろ
怖い夢だったのかな
いまは幸せな夢を見れてるかな
完全に熟睡したAを見て俺はそっと部屋を後にした
おやすみ、また明日な

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