#29 はじめまして。 ページ30
side AM
なかなか病室に入れなくて、しばらく2人の会話を聞いていた。
とにかく3人とも涙でびっちょびちょだから目が赤くなくなってから扉を開けた。
さっきまで扉1枚だけ挟んだ向こうにいたのに。
目の前にくると急に現実なんだって思わせる。
和「ごめんなさい……絶対、思い出すから」
翔「……嘘……うん、うん、ありがとう」
潤「ありがとう」
「ありがとう」
和「えっと、相葉くん？」
「そうそう！」
みんなの名前を覚えてもらって。
和「あの……」
翔「ん？」
和「俺が倒れたとき、知ってる？」
ん？確かに。俺らも知らない。
智「うん…………着替えてたらね、多分、足を滑らせたんだと思う」
そうだったのか……それで、自分のせいだ、って言ってたのかリーダー。
和「リーダー、いてくれたの？」
智「─────俺、いたのに
いたのに、転ぶかもしれなかったのに止められなかった。ごめんニノ……………………」
和「ううん。ごめん、リーダーのせいじゃないよ……。いてくれてありがとう」
リーダーがニノを守らなきゃ、っていう気持ちが強かったからこそ自分を責めちゃうんだよね…………
ニノには、自分が嵐っていうグループだってこと、俺らのこと、たくさん知ってもらった。
ニノがスマホを取り出して、睨むように見たあと急に顔を上げて。
和「嵐って、明日で9年なの……？」
おっと、ついに気付かれてしまった。
智「そうだけど、気にしなくていいよ。」
和「え、でも……コンサート？ライブ？とかするんじゃないの？」
「ううん、しない」
和「俺のせい……？」
翔「違うよ。俺らがそうしたいからそうしたの。だからまじで気にしないで」
和「わかった……」
和「でも、来年には歌って踊ってってできるようにするから」
翔「急がなくていいよ」
先生は、軽いものだからすぐに治ると言っていた。だからといって明日のコンサートに間に合うわけじゃないけど。
今日は俺が泊まる日だから、3人は帰る。
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作者名：珠さと | 作成日時：2024年2月13日 18時
