62. 綺麗な姿 ページ18
サトミside
「....で、なんだけど」
“んー?どうしたのー?”
「気の抜ける返事をありがとう。私はどうすればココから出られるの?」
.
“耳を澄ませば”
「へ?」
“ここは所謂、意識空間。Aは今、昏睡状態だから、ここにいるってわけ”
“ここから出る方法はふたつ。死ぬか、目覚めるか”
.
「究極の選択肢を提示してくるねぇ」
“Aを呼ぶ声に耳を傾けて。そこに向かって歩いていくの。ウソの声に惑わされないで”
「...おー、わかった」
“次会うときは、笑顔が見られることを期待しとくよ”
.
「......ははっ、頑張る」
悲しそうな、苦しそうな顔で頷くA。
.
「ねぇサトミ」
そのまま顔を伏せ、私の名前を呼んだ。
「ここでサトミに会って話さなかったら、アイツらと過ごしてみろって言われなかったら、」
「多分私は目覚めようなんて思わなかったよ」
「諦めて、ここまでだったんだって思って、死んでた」
Aの唇から、乾いた笑いが零れ落ちた。
.
「私が死ぬ事が、サトミの願いだとさえも思っていたかもしれない」
「....ありがとう、サトミ。いつもいつも、私はサトミに助けられてばっかりだ」
“そ、んなこと、”
「あるよ」
眉を下げてこちらを見上げるA。
声は柔らかくて優しいのに、作った笑顔はどこか引き攣っている。
.
そんなことない。
私は、Aが頑張ってることを知ってるから。
Aの一生懸命さが、私にも勇気を与えてくれるんだ。
“......なんて、”
言っても否定するんだろうな、Aは。
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ねころん。(プロフ) - ゆーさん» あらららら……とりあえずティッシュを……!!そしてもう一周読んできてください!(?)ありがとうございます! (2022年11月18日 16時) (レス) id: feedd75a93 (このIDを非表示/違反報告)
ねころん。(プロフ) - ネコ日和。さん» ありがとうございます!自分の作品で泣いていただけるとは……!笑 今の自分の文体に合わせて作品の修正なども行っているので、その過程で番外編も書くかもしれません!その時はぜひよろしくお願いします〜! (2022年11月18日 16時) (レス) id: feedd75a93 (このIDを非表示/違反報告)
ねころん。(プロフ) - ろりぽっぷ。さん» ありがとうございます!気に入っていただけて嬉しいです!!事情により界隈から離れておりますが、またいつか書いた時にはまた読んでくださいね! (2022年11月18日 16時) (レス) id: feedd75a93 (このIDを非表示/違反報告)
ゆー - いいお話、ヒック、すぎて、グズ、涙が、グズ、出てきて、グズ、止まら、グズ、な、グズ、いんですけど、ヒック、どうしたらい、ヒック、いです、グズ、か? (2022年11月9日 18時) (レス) @page38 id: 2307c0fefd (このIDを非表示/違反報告)
ネコ日和。 - 初コメです…!今もう涙で視界がぐわんぐわんしてます。主人公の生き様も、亡き親友の言葉も、全部刺さりました。番外編とかめちゃ見たいっす!!仲良くなった6人とか見たいです!!とっても楽しませてもらいました🤗 (2022年8月15日 21時) (レス) @page38 id: 18b130b5d8 (このIDを非表示/違反報告)
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