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70. ・ ページ27

A side









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“わたしの能力は【ほのお】だから、Aは【こおり】使ってよ!”




幼い声が脳裏に蘇る。また泣きそうになって、今度は下唇を噛み締めた。









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「彼女の繰り出した炎に対し、私は言われた通り氷の能力を使ったんです。

…その時出せる、最大威力を」




“全力で”




サトミは強いから、私の全力でも何とも無いだろう。そんな甘い考えでいた。









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「《絶対零度》」




ふっ、と部屋の温度が落ち始め、慌てて能力を解除する。




言霊よ、勝手な時に宿るんじゃない。




「全ての細胞が活動を停止する温度です。

幼い私はそんなことは知らず、ただ最大を、の一心で能力をサトミにぶつけた」


「炎を使っていたサトミは、それを直に受けても一瞬何か分からなかったのでしょう」









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彼女が技を受けて最初に出した言葉は、“寒い”だった。




……そして、それはサトミの最期の言葉になった。




「能力を解除した私が見たのは、炎を放出する姿勢のまま固まった親友の姿。

……名前を呼んで触れた瞬間、






彼女は塵になりました」









.









ヒュ、と誰かが息を飲む。あの地獄が、フラッシュバックする。




「私は、大好きな人をこの手で殺した。無知は怖い、そんな程度の言葉で済ませられない事をした」




声が震える。泣くな、A。




今は泣いちゃダメだ。伝えるんだ、彼に、彼等に。









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番外編: 元旦→←69. 拝啓、大好きな親友の弟へ



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ねころん。(プロフ) - ゆーさん» あらららら……とりあえずティッシュを……!!そしてもう一周読んできてください!(?)ありがとうございます! (2022年11月18日 16時) (レス) id: feedd75a93 (このIDを非表示/違反報告)
ねころん。(プロフ) - ネコ日和。さん» ありがとうございます!自分の作品で泣いていただけるとは……!笑 今の自分の文体に合わせて作品の修正なども行っているので、その過程で番外編も書くかもしれません!その時はぜひよろしくお願いします〜! (2022年11月18日 16時) (レス) id: feedd75a93 (このIDを非表示/違反報告)
ねころん。(プロフ) - ろりぽっぷ。さん» ありがとうございます!気に入っていただけて嬉しいです!!事情により界隈から離れておりますが、またいつか書いた時にはまた読んでくださいね! (2022年11月18日 16時) (レス) id: feedd75a93 (このIDを非表示/違反報告)
ゆー - いいお話、ヒック、すぎて、グズ、涙が、グズ、出てきて、グズ、止まら、グズ、な、グズ、いんですけど、ヒック、どうしたらい、ヒック、いです、グズ、か? (2022年11月9日 18時) (レス) @page38 id: 2307c0fefd (このIDを非表示/違反報告)
ネコ日和。 - 初コメです…!今もう涙で視界がぐわんぐわんしてます。主人公の生き様も、亡き親友の言葉も、全部刺さりました。番外編とかめちゃ見たいっす!!仲良くなった6人とか見たいです!!とっても楽しませてもらいました🤗 (2022年8月15日 21時) (レス) @page38 id: 18b130b5d8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ねころん。 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年8月5日 15時

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