白銀の彼女は能力者 2〈stpr〉

55. ・ ページ11

No side









「彼らや、他の誰かを守ったからといって、私の罪……サトミを殺した罪を償えるとは思っていません。どう足掻いても、彼女はもう帰ってこない」


「それでも......私に出来ることは、守ること。それだけですから」









シ「自分を、犠牲にしてでも？」


「ええ、守るためなら構いません。それで、誰かが笑顔になるなら」


「所詮私は、学園の中では落ちこぼれ。私が居なくなったとて、悲しむ人は居ないでしょう」









自虐的な笑みを浮かべるA。だが次の瞬間には、その顔には決意の表情が浮かんでいる。









.









「けれど、守れるはずの人を守れないまま、悔いを残したまま、死んでいくなんてことは嫌なんですよ」


「私が生きている間は、私の大切な人を、守りたいと思った人を、理不尽な理由で殺させはしません。もう、大切な人は誰一人として失いたくないのです」









.









「……それが今、私が生きて、戦う、理由です」


シエナが、軽く笑った。









.









シ「貴女は……哀しい人ね」


「そうは、思いませんが」


シ「一生癒えることのない、過去の傷に囚われ続けているのに？」









「……強き力を持つものは、俗世に紛れることは出来ないのが道理です」


「強き者は弱き者を守る。たとえ自らを危険に晒そうとも」


「それが、定めだと思っています」









.









シ「不満には思わないの？自分が強い力を持つことに。そんな運命に振り回されることに」


「思いません。私は今までその役目を果たさず、強い力を持つにも関わらず守られてばかりでした」









「だからこれからは、他人を守れるようになりたいんです」


シ「……そう……」









.









シ「じゃあ、最後にアドバイスしておくわ。自分の意思ばかりでなく、周りの意見もちゃんと聞きなさいね」


「……まわりの、意見……？」









.

56. ・→←54. 対話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す