白銀の彼女は能力者〈stpr〉

あの子のこと ページ8

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特訓部屋から、なにやら大きな音が聞こえてきて。
ちょうど見回りをしていた俺たちが、事故でも起きたのかと心配して扉を叩いた。


でも、その部屋からでてきたのはこの学院でも【最弱】と言われる彼女で、


「なにかの間違いだろう」


と、みんなは帰って行った。







けど。








「…………」


何かと鋭い彼だけは、その部屋を見つめて動こうとせず。
しまいには部屋から出てきた彼女と話しはじめる始末。


仮にもEクラスの生徒に対して怪我をさせたり、命を奪うようなことがあってはならないと物陰から監視していたわけだが、特に何事もなく彼女は帰っていった。






「…………」
「さとみくーん」


難しい顔をする彼に、極力明るく声をかける。







「……毎回毎回、訳わかんないところから現れるのやめてもらえません？」


呆れたような声を出す彼の瞳は、少し曇っていて。






「なにか、隠してるような気がする。……誰にも言えない、何かを抱え込んでる」




俺に話してくれたのは、大まかな内容だけだったから。何か、彼の中で考えがあるんだろう。
そう結論づけて、小さく呟かれた独り言を、今は聞かないふりをした。







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