白銀の彼女は能力者〈stpr〉

最弱のままで ページ7

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「辞退させていただきます」


わたしは、全力なんて出せない。
……出したらきっと、また誰かを傷つける。





「あ？」


こちらを睨みつける彼はとても不機嫌そう。でもこれだけは絶対に譲れない。



「Eクラスの人間と全力で戦うなんて、SSクラスの貴方がすることじゃないでしょう？」


精一杯の笑顔で吐き捨てて、踵を返す。もうこれ以上、話すことなんてない。
無言でこちらを見つめる、疑うような彼の視線が突き刺さる。








強くなんて、なりたくない。認めて欲しいとも思わない。
また誰か、大切な人を失うくらいなら、私はずっと【最弱】のままでいい。







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「辞退させていただきます」



あの瞳。何か、辛いことを押し殺す目。
俺が何度も、何度も、色んな場所で、見てきた表情。









「…………」




【最弱】のレッテル。



あいつが意図して、自らそれを貼ったのだとしたら……
そんな考えが、頭を過ぎる。









「さとみくーん」


考え込んでいると、明るい声とともにトン、とどこからか飛び降りてくるなーくん。



「毎回毎回、訳わかんないとこから現れるのやめて貰えません？」
「ははっ、ごめんごめん。なんかさとみくんが難しい顔してたからさ」
「…………」




ほんとうに、この人は。
何ひとつとして隠し事を許してくれない。






「ポーカーフェイスしてたはずなんすけど」
「いやー、ずっと一緒にいるんだもんわかるよー」


ですよね、知ってます。






「で？俺が聞いた方がいいこと？」
「んー……あー、まぁ、そっすね、一応」
「わかった」



あいつが何を考えているのか、あいつが本当はどんなやつなのか。なぜ、自分の力を隠すのか。
それを、知りたいと思った。







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