白銀の彼女は能力者〈stpr〉

36. 《催眠》 ページ38

A side







今回使用する能力《催眠》は、ジェルが元々持っている《幻術》という能力を独自に合成・変換して作り上げたものなので、普通の能力を使用するよりも体力を使うし、詠唱も長くなる。


自分自身が詠唱なんてものに無縁だったから忘れかけていたが、顔を歪めながら長い詠唱を唱えるジェルを見て、独自能力の威力と代償を改めて思い出す。









普通の人なら独自に能力を作り出すなんてやろうとしてもできないし、SSクラスの彼でさえ完全オリジナルではない能力でもあれほどまでに体力を削られるものなのだ。


『何も考えずに《雪月華》なんて作り出すんじゃなかったよ、全く』








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自分の力に少し不気味さを覚え、馬鹿じゃないの今更じゃんか、と自分に言い聞かせる。









そのとき、


ジ「──《発動・催眠》！！」


一際大きなジェルの声と共に淡い橙色の光が辺りを照らし、能力が発動されたことを示す。








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な「ジェルくん...！！」


る「お疲れ様ですジェルくん」


体力を使い果たし倒れそうになるジェルをななもりが支え、るぅとが回復する。


流れるような良いチームワークだ。









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それが羨ましい、なんて。バカみたいだ。


私にそれを羨ましいと思う資格はない。


『ありがとうございました、ジェルさん。あとはお任せを』








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相当な体力を削って能力を発動してくれたおかげで、さとみに《催眠》はしっかり効いている。


あとは私次第...さとみの体力がなくなるまでに、どこまで情報を聞き出せるか。








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『......ねぇ、《キミ》。なんて名前なの？』


ミッション・スタートだ。









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