圧倒的顔だけ少女

イケメンと北さん ページ11

角「い、いえ何も」



いつもの飄々として人の弱みを握ろうと画策している姿はどこへ行ったのか

飼い主に怒られた犬みたいだ



北「お前さんもずうっとこっち凝視しとったけどどうしたん？」

グリンッ！とこちらに顔が向く

勢いが良すぎて思わず「うおっ」と声をあげてしまった



主「え、えぇと…角名が話してる主将ってどんな人かなと気になって」




「ほうか」と無表情で答える主将さん

雰囲気がどことなく従兄弟に似ている





北「3年の北信介や。よろしゅうな」



主「あ…はい。よろしくお願いします」



手を差し出されたので両手で掴んで握り返す
ちゃんとした人だなあと思った




北「でも人のこと指差したり凝視したりすんのはあんま褒められたことじゃないで」




気い付けやと言ってまた元の席に戻っていく北さんを
少し見送ってから自分が自己紹介してなかったことに気付く




主「北さーん！私雨宮Aっていうんですよー！」



驚いたのか一瞬ビクッとしてゆっくりと振り向いた北さんは「ほうか、よろしくなA」と言い残してまた歩き出した



角「めっちゃ良い子振るじゃん」



角名は北さんがいなくなった瞬間、息を吹き返しいつも通りの角名に戻った


調子のいい奴め。北さんが来た時の顔撮っておけばよかった




主「んーちゃんとしてる人好きなんだよね」




角「へぇ意外。北さんみたいな人苦手かと思った」




もちろんただ真面目なガリ勉とかはあんまり好きじゃない



私が好きなのはハンカチを毎日持ち歩いていたり、
いただきますとかしっかり挨拶をする
ちゃんとした人だ



角「あーでも確かにお前も何故かそういうところだけはしっかりしてるよね」

授業はサボんのに掃除はちゃんとやるとか笑える、と



北さんにバレない角度を研究したのだろう

こっちから見るとかなり間抜けな体勢でスマホをいじりだす角名にヘラヘラ笑われる




角「また従兄弟？」


主「そーだよ」

教えてもらったことは全部無駄にしたくないんだ

家族の中で唯一尊敬できる人なんだから

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