重なる歩幅 ページ3
「ほんっっと鈍感！あのさ、俺と何年一緒にいるの？
金メダル２個も獲ってちょっとはカッコいいとか思ってくんないの？
チョコあげようとか思ってくんないの？」
「思ってるよ。いつも最高にカッコいいって思ってる。
チョコレートもほんとは持ってるもん。」
何年分かの勇気を振り絞ってやっとそれだけ言った私を見て、彼は最高の笑顔になった。
「これって手作り？」
「うん手作り！」
「金メダル？」
「そう！金メダル！首にかけるヒモと、チョコをくっつけるのが大変だった。」
「手作りって・・そっちか！！」
子供の工作みたいな金メダルのチョコレートを私は彼に作ったのだ。
ドキドキしながらそれをそっと彼の首にかけた。
首にかかった金色のチョコを手に取って眺めながら、
私の大好きなくしゃくしゃな笑顔で頭を撫でてくれた。
ずっとずっと埋まらなかった距離が初めて埋まった気がした。
実はこのふざけた金メダルチョコの他にも、ちゃんとしたチョコレートも作っていた。
金メダルのチョコレートは、臆病な私が、いざとなったらこの気持ちを冗談に出来るように
用意したものでもあった。
いつでも友達の距離に戻れるように。
彼をギリギリで失わないように。
だけど求められた時、やっぱり私はこの不格好な金メダルチョコを彼にあげたいと思ってしまった。
不器用な私の長い長い片想いが、彼に届くように。
その金メダルを今、彼は嬉しそうにかけている。
「やべ。今までで２番目に嬉しいメダルだ」
「えっ？２番目？１番は何なの？」
「うーん、平昌？いやソチかな？もーいーや、全部嬉しい！」
そういうと、素早く私の手をとり、私の顔を見ずに歩き出した。
今度は同じ歩幅でゆっくりと。
「絶対、大事にする」
彼がそうつぶやいた。
「早めに食べたほうがいいよ」
「ほんっっと鈍感で可愛すぎ。
そんなこと言って、ほんとに俺に食べられたらどうするんだよ・・・」
「別にいいもん」
言うなり彼は真っ赤になった。
いつも彼を追いかけていた私が、彼を困らせてみたくてからかっただけなのだけれど。
「もう！いいから早くご飯行こ。店閉まっちゃう」
そう言って時間を確認した彼のスマホの画面の中で
見覚えのある古ぼけたプーさんが笑っていた。
終わり
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らっき(プロフ) - 週刊誌とかあんまりない設定の妄想作品です。笑 読んでいただきありがとうこざいます！初々しい２人というかそんな感じを出したいなと思って書いたものです。鹿さんの更新も楽しみにしています！ (2021年7月3日 22時) (
レス) id: 4da1a124c4 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - ここの羽生さんは積極的ですね！！＾＾人目も気にせずごはんなんて、萌えが過ぎますよ。素敵な作品ありがとうございます！ (2021年7月3日 10時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らっき | 作成日時：2021年6月28日 12時
