第10話 正直者の１ ページ10
本番まであと二時間もある。これならセリフとポーズを確認する時間も十分にありそうだ。鏡の前に立ち、一通りの動きを確認する。寝る間も惜しんでフェロー様と考えたセリフも、見苦しかったダンスもスマートに出来る様になった。これなら大丈夫だ！
…とか言ってたやつはどこの誰だろうか。うん。私だな。
メンバーの皆さんとと外に出た瞬間、人、人。大勢の人に囲まれる。手を振り応えるリクルーターの皆さんはまるでアイドルのようだ。そりゃそうだろうな、カッコいいし美しいもの。あちらこちらから、彼らを呼ぶ声がする。
「きゃー！！ジャックハート様！」
「プリティスカー様！可愛いです！！」
などなど、大騒ぎだ。
そして、列の一番後ろを歩く私に気づき好奇の目を向ける。誰あの人？と言いたげな視線が私に突き刺さる。当然だ、全員はじめましてなんだから。とりあえず手を振り、笑顔で『happy Halloween！』と言っているが、頭の中は真っ白だ。緊張で冷や汗が吹き出し、手足がキンキンに冷えているのがわかる。
「誰だろう、あの子。…すっごく可愛くない⁉」
え？
「それにしっぽがついてる！誰の手下なんだろうね！」
誰だか分からないのにも関わらず手を振りかえし笑顔を向けてくれるゲストの皆さん。なんて温かい人たちなんだろう。そして、思ったよりも好印象だ。この大きなしっぽがかなり注目されているらしい。ありがとう、しっぽさん。少しだけ緊張がほぐれた気がする。
ステージ、といってもレッドカーペットが敷かれただけの広場に立つ。想像の何倍も多いゲストがぐるりと囲み、各々のカメラを向ける。
「Action…」
囁くような合図でリクルーティングがスタートする。練習通り完璧に踊りきり、決めポーズ。よし、大丈夫。そこからスキャターさんとVさんの司会でアピールをする。私の順番は一番最後。一人、二人と終わるごとに、心臓の音が大きくなっていく。
「最後のリクルーターは、A・フェール！彼女のマスターはファウルフェロー、大きなしっぽで皆さんの心を癒します〜！しかし、彼女の言葉には気をつけて。真実か嘘か、それは彼女のみが知るのです。」
紹介に合わせポーズを決め、マイクに向かう。大きく息を吸い、言葉を口にする。しかし、想像した音は聞こえてこなかった。会場がざわつき、スキャターさんが名前を呼ぶ声が聞こえる。あれ？私、声が出てない？
頭の中にセリフは入っている。最初の言葉だって分かる。だけど、
声の出し方が分からない。
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蛙鳴ソウ - 霰メイサさん» 頑張ってください！ (2021年3月21日 15時) (
レス) id: a61f199f7f (このIDを非表示/違反報告)
霰メイサ(プロフ) - 蛙鳴ソウさん» はじめまして！わー！ありがとうございます！いいですよねジャック君！素敵で美しい手下の皆さんを書けるように頑張ります！ (2021年3月21日 13時) (レス) id: 8b8cafdd4c (このIDを非表示/違反報告)
蛙鳴ソウ - 初めまして！私も最近手下にハマったばかりですw特にジャックくんに！ここで手下の性格を勉強したりしながら面白いなと思っています！私もジャックくんで書いてるけど更新頻度が…← 面白いです、頑張ってください！（長文失礼しました） (2021年3月21日 13時) (レス) id: a61f199f7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霰メイサ | 作成日時：2021年3月11日 17時
