第6話 素敵な仕事 ページ6
仕事は５日後から。
話の後にフェロー様は私に仕事服を作ってくれた。
白色のシャツに、おそろいのコート。同じいろのガウチョに、シルクハットを被る。フェロー様の横に並ぶと、いかにも手下って感じがして嬉しくなった。
今日は町を散歩したり、フェロー様のお仕事を見学したりした。明日から本格的に勉強が始まるらしい。たった一日で私を取り巻く状況は一変した。頭も心も追いついていなくて、正直長い長い夢なんじゃないかって思う。でも、たとえ夢でもこの仕事をこなして両親に絶対会う。もう一度、私を迎えてもらうために。
次の日、手下として、ヴィランズとして覚えなきゃいけない事をこれから４日間で頭に叩き込む。相手をうまく騙す方法やら作法やら、沢山あったけど習得に苦労はしなかった。むしろ楽しいくらい。よくわからないけど驚くほど人を騙すことが楽しかった。多少心は痛むけどね。
何より、フェロー様が私を必要としてくれるのがとても嬉しかった。一日目の夜、フェロー様が出かけてしまい夕御飯に困っていた。幸い、キッチンの設備も材料もあったから勝手にオムライスを作る事にする。
オムライスなら簡単に作れるし、私の大好きな料理のひとつだ。
「ただいま…、…？」
『お帰りなさいませ、フェロー様』
ちょうど帰って来たフェロー様は玄関に入ったとたんに笑顔が消え、眉間にシワがよる。
「なんだ、この匂いは？」
静かな、低い声でそう言った。手下の分際で、勝手なことをしたのが悪かったのだろうか。
『申し訳ありまs』
「なんて美味しそうな匂いなんだ！」
「へ？」
思っていたのと違う反応、パァァという効果音の付きそうな笑顔に間抜けな返事をしてしまう。
「これはなんだい？君が作ったのか！私の分はあるかい？」
『ありますけど、怒ってたんじゃないんですか？』
「そりゃまたなんで！私が怒る理由なんてないだろう？こんな素晴らしい料理いつぶりだろうか！」
フェロー様は、私にとって当たり前のこともなんでも褒めてくれた。このオムライスも気に入ってくれて、毎晩私がご飯を作ることになった。
「君の作る料理は最高だ！君を手下にできた私は幸せ者だよ！」
こんなに褒めてもらうのも、近くに誰かがいる生活も久しぶりだ。かけてくれる言葉も、なでてくれる大きな手もとても温かくて、長い間凍っていた感情がよみがえる
手下生活最初の５日でフェロー様は、居場所だけでなく早くも私に普通の幸せというものを教えてくれたのでした。
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蛙鳴ソウ - 霰メイサさん» 頑張ってください！ (2021年3月21日 15時) (
レス) id: a61f199f7f (このIDを非表示/違反報告)
霰メイサ(プロフ) - 蛙鳴ソウさん» はじめまして！わー！ありがとうございます！いいですよねジャック君！素敵で美しい手下の皆さんを書けるように頑張ります！ (2021年3月21日 13時) (レス) id: 8b8cafdd4c (このIDを非表示/違反報告)
蛙鳴ソウ - 初めまして！私も最近手下にハマったばかりですw特にジャックくんに！ここで手下の性格を勉強したりしながら面白いなと思っています！私もジャックくんで書いてるけど更新頻度が…← 面白いです、頑張ってください！（長文失礼しました） (2021年3月21日 13時) (レス) id: a61f199f7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霰メイサ | 作成日時：2021年3月11日 17時
