第4話 契約しましょう1 ページ4
目を開けるとそこには映画で見たことのある光景が広がる。
《さぁ、もっとこっちにおいで?お前さんの顔を見せてごらん。》
ゆっくりと声の正体に近づく。 美しいシルバーの髪、うねうねと動く紫色の8本の脚。彼女の名前は…
「私の名前はアースラ。よくここまで来たねぇ。ここには、強い願いと深い闇を持つ者しか入れないのさ。聞かせてごらん?あんたの望みを」
『私の望みは…両親に愛されて、普通の暮らしがしたい。私を置いていかないで、必要としてくれる両親と…!』
半ば叫ぶように告げた、心からの願い。子供に笑いかける両親、素直にはしゃぐ子供、本当に羨ましかった。
「おや、あんた親に捨てられたのかい?そりゃ、酷いねえ。お前さんはこんなにも両親を必要としているのに」
アースラは大袈裟に悲しむ。きっと、思ってもいない事を。
「いいだろう!あんたの望みを叶えて、不幸せな魂を救ってあげよう!だけど、分かっているね?望みを叶えるにはそれなりの対価がいる。そうだねぇ?」
彼女は後ろを向き戸棚を漁り始めた。いろんな貝や瓶が飛んできて、思わず後ずさりしてしまう。お目当てのものを見つけたのか、振り返ると
「これは心の闇や負の感情、強い呪いなんかを中和する薬さ、これをあんたにあげよう。代わりにお前さんには私の友達の手下になってヴィランズとして働いてもらおうか」
彼女の手にはキラキラと輝くターコイズブルーの液体が入った巻貝型の瓶がある。まるで海を閉じ込めたような液体は見たことなんかないのになんだか懐かしい気がする。瓶に夢中になっている間にどんどん話が進んでいて、
『手下…?』
「あんた、今私の話を聞いてたかい!?」
と少し怒られてしまった。こちらをじっと見ていた彼女はため息をつくと
「そうさ、今私の手下も人間界で働いているのよ。私の友達が手下を欲しがっていてねぇ。きっとそこら辺を当てもなく泳ぎ回るより、働きながら探した方がよっぽどいいんじゃないかい?」
『えっと、?その後ってもちろん私は開放されますよね?』
「そりゃそうさ、だけど条件がある。10月31日の日没までにお前さんが両親と三人でその薬を飲めなければ、お前はもう二度と人間には戻れず、手下のまま。ついでに、お前さんから一つ大切なものを私が貰う。そしてこの契約に関する記憶が消える。それでも良かったら取引しようじゃないの」
彼女が指をパチンと鳴らすと目の前に黄金の契約書が現れる。私には読めないけど。
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蛙鳴ソウ - 霰メイサさん» 頑張ってください! (2021年3月21日 15時) (レス) id: a61f199f7f (このIDを非表示/違反報告)
霰メイサ(プロフ) - 蛙鳴ソウさん» はじめまして!わー!ありがとうございます!いいですよねジャック君!素敵で美しい手下の皆さんを書けるように頑張ります! (2021年3月21日 13時) (レス) id: 8b8cafdd4c (このIDを非表示/違反報告)
蛙鳴ソウ - 初めまして!私も最近手下にハマったばかりですw特にジャックくんに!ここで手下の性格を勉強したりしながら面白いなと思っています!私もジャックくんで書いてるけど更新頻度が…← 面白いです、頑張ってください!(長文失礼しました) (2021年3月21日 13時) (レス) id: a61f199f7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霰メイサ | 作成日時:2021年3月11日 17時