第23話 1人の静けさ ページ25
ミーティングの結果、私は今日一日は休みになった。今日休みの予定だっだアップルさんが急遽私の分のシフトに入ってくれることになったそうだ。申し訳ない…
あの後すぐにアップルさんからすりおろされたりんごが届いたり、ファージャさんからは風邪薬が届いたりした。皆さん本当に優しくて、ヴィランズなのか…？と疑いたくなる時がある。しかしリクルートの時になると否が応でも悪役なのだと理解させられるあのオーラ。わたしもそこまで辿り着けるのだろうか、そもそも後ハロウィンまで3週間もないというのに目的を達成出来るのだろうか。
熱が出ると心まで弱ってしまう…よくないな…。今皆さんは仕事で外に出ているからこのフロアには私しかいないのだろう、秒針の音しか聞こえない。1人ってこんなに心細かったっけ…？最近手下の皆さんに囲まれて過ごしていた所為か、以前は日常的だった1人の時間がこんなにも怖くなっている。
とにかくこの寂しさと風邪によるしんどさを紛らわすため、無理矢理眠りについたのだった。
これは夢だ、そう直感が言っている。あの日自転車で通った道を、ゆっくり歩きながら来た方向とは逆向きにただ辿っている。風景はぼんやりとしているがこの先にあるのは元々住んでいたあの家だと、そう思った。あの日以来パークの外に出ることがなかったから、なんだか久しい気もした。
夕方とも夜とも、朝とも分からない空の下を歩き続ける。
「ふーん、Aの夢の中ってこんな感じなんだね〜あの子の夢とは真反対だ」
突然後ろから声がした。さっきまでなんの足音もしなかったのに。
「なんであなたがこんな所にいるんですか、ジャック」
そう、振り返らずに問う。
「それが僕の力であり、僕を形作るものだから…とか？」
「人に夢を覗かれるってあまり嬉しくはないんですけどね…」
「そう？僕は楽しいけどね！」
彼はいつもと何も変わらない調子で、けらけらと笑った。
何かがあっても何もなくても、いつも笑っている彼が時々怖かった。
「ところで、君はこんなところで何をしてるんだい？」
「…家に、帰りたいの」
「家？」
「お母さんとお父さんがいる家に帰りたいの、1人は嫌なの、置いていかないでよ…」
涙で霞んでしまう視界の先に見えるジャックの表情が、少しだけ曇った様に思えた。
「…ふーん、人間って難しいね。」
そう言って、ただ足を前に進める私に歩調を合わせた。
だけど、歩いても歩いても家に辿り着くことはなかった。
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蛙鳴ソウ - 霰メイサさん» 頑張ってください！ (2021年3月21日 15時) (
レス) id: a61f199f7f (このIDを非表示/違反報告)
霰メイサ(プロフ) - 蛙鳴ソウさん» はじめまして！わー！ありがとうございます！いいですよねジャック君！素敵で美しい手下の皆さんを書けるように頑張ります！ (2021年3月21日 13時) (レス) id: 8b8cafdd4c (このIDを非表示/違反報告)
蛙鳴ソウ - 初めまして！私も最近手下にハマったばかりですw特にジャックくんに！ここで手下の性格を勉強したりしながら面白いなと思っています！私もジャックくんで書いてるけど更新頻度が…← 面白いです、頑張ってください！（長文失礼しました） (2021年3月21日 13時) (レス) id: a61f199f7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霰メイサ | 作成日時：2021年3月11日 17時
