第12話 正直者の３ ページ12
どれだけ声を出そうとしても、喉が震える感覚は戻ってこない。肺の奥が冷たくなって、それと同時にゲストの目の前だということを思い出す。皆さんに迷惑なんてかけたく無いのに。
「大きく深呼吸して。安心して、ここに君の敵いないよ？」
不意に耳元で囁かれる。大きな手で私を撫でていたのはジャックだった。言われた通りに深呼吸すると、無くなっていたあちこちの感覚が戻ってくる。
私が落ち着いたのを確認すると、エイトフットさんの方を向いて叫ぶ。
「声が出ないんだってー、取ったの？」
「おれぇ？お前、いつの間にオレと契約したんだ！」
『あー、あ！喋れましたね。いやーお騒がせしました。』
会場に笑顔が戻る。さすがエンターテイナーだ、ハプニングさえも笑いに変えるなんて。
『では、気を取り直して。初めまして皆さん。私と組まないかい？君たちとなら大儲け出来そうだ！大丈夫、怖いものなんてないさ。嘘はついてないさ。私は正直者のAなんだからね。そんな私のポーズはこう！』
リクルーティングの答えはイエス！初めての仕事でイエスと言って貰えて本当に良かった。こうして、初めてのリクルーティングは終了した。緊張しすぎた所為かホテルに戻ると、安心感から力が抜けてよろけてしまった。
「⁉大丈夫ですか？体調がよろしくないのでは？」
『全然大丈夫ですよ？安心したら力が抜けてしまって』
ヴェールさんに無理やり作った笑顔で答える。すると、ジャックがやって来て低い声でこう告げる。
「ハイエナガールが聞いてた時も大丈夫だって言ってたけど、あの時の君は明らかに顔色が悪かった。体調が悪いなら来なくてもよかったんだよ？」
それは暗に「来るな」と言われているようで、溢れて来そうな涙と恐怖を押し込め、立ち上がり頭を下げる。
『申し訳ありません』
顔を上げると、ジャックはもういなくなっていて、残っていたメンバーが私を励ましてくれた。
『すみません、皆さんに迷惑をかけたく無いと思っていたのに、結果的に迷惑をかけてしまって。体調は元気です。だけど、緊張しすぎて、自分でもびっくりしました。』
「あのね、テールちゃん。迷惑なんかじゃないからもっと私たちを頼って欲しいの！困ったら、隠さず伝えてくれて良いからね！」
「その通りですわ！頼ってくれた方が嬉しいですもの。」
『ありがとうございます。皆さんにそう言ってもらえると心強いです！』
結局その日、ジャックに会うことはなかった。嫌われた…のかな。
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蛙鳴ソウ - 霰メイサさん» 頑張ってください！ (2021年3月21日 15時) (
レス) id: a61f199f7f (このIDを非表示/違反報告)
霰メイサ(プロフ) - 蛙鳴ソウさん» はじめまして！わー！ありがとうございます！いいですよねジャック君！素敵で美しい手下の皆さんを書けるように頑張ります！ (2021年3月21日 13時) (レス) id: 8b8cafdd4c (このIDを非表示/違反報告)
蛙鳴ソウ - 初めまして！私も最近手下にハマったばかりですw特にジャックくんに！ここで手下の性格を勉強したりしながら面白いなと思っています！私もジャックくんで書いてるけど更新頻度が…← 面白いです、頑張ってください！（長文失礼しました） (2021年3月21日 13時) (レス) id: a61f199f7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霰メイサ | 作成日時：2021年3月11日 17時
