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第2話 一人ぼっちのリビングで ページ2

そして今に至る。状況整理がしたかった私、稲木Aの惨めな回想もここまでにしておこう。
一人には慣れている。だから、寂しくはない。
だが、家具も本当に最低限のもの以外持っていかれている。お金は5000円。親はこれだけのお金でいつまで過ごせというのか。手紙には「一人で頑張って生活してね」としか書いてないしっ…。
日が暮れ灯りのないリビングで一人、手紙を握りしめる。以前、夜中に両親が私のことについて話し合っているのを見てしまっていたから、多少なりとも覚悟はしていた。だけどそれが現実になると、意外と受け止められないものなんだなぁと誰もいない空間につぶやく。
ついに、親に捨てられてしまったみたいです。

そしてこの謎のチケット。まさかの使用期限が明日まで。何を思って置いたのかは分からないけど、流石に行かないのは勿体ないので今日のところは家で過ごし明日の朝から大好きなシーに行くことにした。
実の所、私はディズニーが大好きなのである。主人公が願えば、どんな願いも最後には叶う。人間に恋した人魚は願いをかなえ足を手に入れ、王子と結ばれる。空飛ぶ灯りが見てみたいと、知らない世界へ飛び出した少女はそこで大事な人を見つける。そんな世界が今の私にはとても眩しく見える。
私には主人公になる資格はあるのだろうか?いや、きっとそんなチャンスさえ訪れることなんてないのだろう。


そして翌日、雲一つない晴天。部屋のカーテンを開け、いつも通り身支度をする。
少しボロイ自転車にまたがり、道順を確認する。さぁ向かうぞ、ディズニー!
ディズニーまでは大体自転車で家から40分かかる。今の私には電車代すら惜しいので、気合と根性で自転車を漕ぐ。パークに行くのは多分3年ぶり、中学1年生の時だったと思う。頑張って貯めたおこずかいを全部使って、一人で行った気がする。あの時からパークは変わったのかな〜。楽しみなことを考えていると、重いペダルも少しは軽く感じられた。

つ、着いたぁ。引き籠りに等しい私は到着するまでに時間も体力も使ってしまった。
ゲートを越え、メディテレーニアンハーバーへ速足で向かう。周りはゲストの笑顔で溢れていて、とても楽しそうだ。今の私とは大違い。
そしてパークはハロウィン一色で本当に素敵だ。今年はヴィランズがテーマらしい。
本当なら沢山美味しいものも食べたいけど出費が嵩むと大変なので我慢することにしよう。

そんなことを考えていた私は、彼らの存在に気づく訳もなかった。

第3話 魔女の鏡→←第一話 私の存在



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設定タグ:ヴィランズ手下 , ジャックハート   
作品ジャンル:恋愛
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蛙鳴ソウ - 霰メイサさん» 頑張ってください! (2021年3月21日 15時) (レス) id: a61f199f7f (このIDを非表示/違反報告)
霰メイサ(プロフ) - 蛙鳴ソウさん» はじめまして!わー!ありがとうございます!いいですよねジャック君!素敵で美しい手下の皆さんを書けるように頑張ります! (2021年3月21日 13時) (レス) id: 8b8cafdd4c (このIDを非表示/違反報告)
蛙鳴ソウ - 初めまして!私も最近手下にハマったばかりですw特にジャックくんに!ここで手下の性格を勉強したりしながら面白いなと思っています!私もジャックくんで書いてるけど更新頻度が…← 面白いです、頑張ってください!(長文失礼しました) (2021年3月21日 13時) (レス) id: a61f199f7f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霰メイサ | 作成日時:2021年3月11日 17時

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