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Akechi.Side
蘭に連れられて警察に来て、色んなこと聞かれて話して‥‥。
「面倒見てくれる人とはいるのかな」って言われて‥‥怖くなった。
本当に母さんは迎えに来てくれるのかなって。
話が終わって、警察署を出ると蘭が待っててくれた。
俺に気付くと微笑んで「おかえり」って。
『手当てしてもらったんだ』
「‥‥うん」
『まだ痛い‥‥よね‥‥』
「‥‥うん」
警察署から歩いて、俺達の家から近い公園で蘭が「少し休もう」と言って２人で公園のベンチに座る。
蘭がしばらくして話し出した。
『お父さんが“うちで暮らさないか”って言ってた』
「‥‥‥‥え」
『‥‥お母さんは仕事で家にはあまりいないけど、
秀一とお父さんと一緒に暮らせたら楽しいかなって‥‥。
どうかな？』
俺が蘭の家に‥‥？
“蘭ちゃんの家は有名な化粧品メーカーだったなぁ”
「っ！」
父さんの‥‥あいつの言葉を思い出し、ゾッとする。
もし俺が蘭の家に住んでるなんて知ったら、
あいつは間違いなく蘭のおばさん・おじさんに金をせびるに決まってる。
そんな事絶対‥‥嫌だ。
俺が‥‥守らなきゃ‥‥。
「‥‥うるせぇよ」
『‥‥え？』
「同情するんだったらほっとけよ。俺のことなんか」
『‥‥違うよ秀一、私は、』
「“俺のため”とか言うんだろ？どうせ」
『！』
守り方を間違っててもいい。
とにかく、蘭を俺から遠ざけないと‥‥。
「そういうのマジで
あと‥‥もうお前と幼馴染でいるのやめるから。関わんな。」
目を見開いて、蘭の茶色の瞳が揺れる。
俺はもう、蘭を見てられる気がしなくて目を逸らした。
そしたら言ったんだ蘭が。
「あっそ‥‥‥‥じゃあもう知らない」
って‥‥‥‥。
わかってた。
蘭は引き止めてくれないって。
俺を置いて帰って行く蘭の背中を俺は涙でぐちゃぐちゃになりながら、何度心の中で「行くな」って「一人にしないで」って、叫んだことか。
自分で突き放したくせに‥‥。
この時の俺は、なんで突き放したりしたんだろうって
後悔することになるとは‥‥‥‥‥‥思いもしなかった。
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作者名：ねむ
| 作成日時：2019年5月26日 10時
