Episode 7 ページ8
「あ、お帰りA。時間間に合う?」
家ではエリザが既に着替えていた。ロディは愛用のバイオリンの調律をしている。伴奏をしてくれ
るのだと言う。意外にも、ギルがアコーディオンを持って来ていた。そしてAの祖父がフラメ
ンコギターを持っている。禿頭で立派な口髭を蓄えた、中々ダンディな老人だ。
「フラメンコを踊るのか?」
「それはヒターノ(イベリア、北アフリカ、南仏のロム)の踊りだ。我々ツィカーニ(ロムのチェコ
語)の踊りは少し違う。それと」
突然、アーサーの鼻を細長い指でつまんだ。地味に苦しい。
「年長者にはきちんと敬語を使え、小童が。」
悪戯っ子の様な笑顔だが、口調と指にこもる力が本気だ。Aも昔はこうして絞られていたの
か、とぼんやり考えていると。
「でないと、あのフランシスとか言う優男か、アントーニョの所へ嫁に出すぞ。」
「ざけんな!・・・いで下さい!」
あまりの内容に怒鳴ってしまったが、本当にそうされると困るので言い直す。すると、分かればよ
し、というように指が離れた。
「ほら行くぞ。」
ギルに言われ、慌てて外へ出るアーサーであった。
「・・・何でコイツがおんねん・・・」
「今日から一週間うちに泊まるの。」
「そんなら言うてや!」
「お主のことじゃ。言ったら来ないであろう?」
「せやけど・・・ま、アダルベルトはんの頼みやし、しゃあないわ。」
一緒に踊るために合流したアントン(スペイン人だが訳あってチェコ在住)はアーサーの姿にげんな
りしたが、アダルベルト(Aの祖父の名前)に窘められて渋々納まった。そして、アーサーは見
物に回り、他は準備を始めようとした。
「おいアダルベルト!!」
と、一行のいる広場の一画から小柄な中年男が飛び出して来る。そしてアダルベルトの胸倉をつか
み、怒鳴り散らす。
「ちょっとグラス作るのがうめぇってだけで好き勝手やんじゃねぇ!汚らしいツィカーニなんかが
いたら観光客が皆逃げちまうだろうが!とっとと失せろ!」
その後も延々と罵り倒す男の声にとうとう警察が介入し、一行はあえなく撤退することになってし
まった。
「そりゃ、盗みやったり物乞いやったりする奴もおるけど、俺らはそんなことせぇへんし真っ当な
生活しとるんやから、ヒターノいうだけで差別するんはええ加減にしてほしいわ!」
Aの家に帰るやいなや、アントンはそう叫んだ。今回の様なことは、なにも初めてではない。
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Freiheit@Ernst - お久しぶりです~第三弾楽しみにしてますね! (2014年8月17日 0時) (レス) id: 0dd1897602 (このIDを非表示/違反報告)
カオリ(プロフ) - レリゴー!さん» 最近ヘタリアグッズ少ないですよねー。もちピンズ買いに行こうと思ったらなかったんですよ…。 (2014年8月9日 19時) (携帯から) (レス) id: 40a6f8a3a7 (このIDを非表示/違反報告)
レリゴー! - 大好きだなんて、そんな・・・恐れ入ります、すみません///最近、アニメイト行ってもヘタリアグッズ少なくて悲しい(涙)なので、ここで発散してるのですが、ぶっちゃけ誰得なんだろこれって思ってました(笑)なのでとても嬉しいです! (2014年8月9日 17時) (レス) id: 9c6a128fd2 (このIDを非表示/違反報告)
カオリ(プロフ) - はじめまして!カオリと言います。この作品大好きです!ハリポタもヘタリアってもう私得過ぎます!更新頑張って下さいね! (2014年8月7日 15時) (携帯から) (レス) id: 40a6f8a3a7 (このIDを非表示/違反報告)
Freiheit - ギルくんだけでも(○_○)!!て感じなのにイヴァンさんも…だと!?あなたは私の脳をどうする気ですか!?どんどん出してください!!! (2014年7月30日 16時) (レス) id: 0dd1897602 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レリゴー! | 作成日時:2014年6月20日 17時