Episode 3 ページ4
屋敷に戻っても、アーサーの心は落ち着くことはなかった。両親と兄達の視線が痛いわけではな
い。寧ろ慣れてるので痒くも何ともない、気持ち悪くはあったが。
何といっても女の子(お祖父さんが一緒だが)の家に泊まれて、アメリカへ行くまでチェコを観光出
来るのだ。時間があれば、フランスにあるディズニーランド(欧州ではここしかない)でちょっとし
たデートとか・・・
「何にやけてんだアーティー?お前が情けないのは前々から知ってるが、そのにやけ面はさすがに
無いぞ。」
「・・・・・・Thank you. 勝手に言っとけよcarrots.」
横からわざと粘っこい口調で嫌味を言ったのは、カークランド兄弟の長男__スコットである。長
身痩躯に青白く、少々そばかすが残っている肌。薄い浅葱色の目。短く切った髪はcarrots__"人
参"よりも暗いワインレッドだ。余談だが、carrotsは赤毛の人を言う俗語なのだが、a redheadの
方が身の安全は確かである。現に、"赤毛のアン"ではギルバートが"人参"と言ってアンに小さな黒
板のようなもので殴られている。
「聞いたぞ。あの"穢れた血"を半分持つ餓鬼のとこに行くんだってな。」
「あぁ。あと、アルはこれっぽっちも穢れてねぇからな。」
スコットを見向きもせず、しかし敵意の含んだ声で言いながらスーツケースを転がし玄関へと急
ぐ。カレー港行きの船が出るまであと二時間しかない。
そんな末弟を薄笑いを浮かべながら眺めるスコットの目は冷たい。傍から見れば、反抗期の弟とそ
れを見送る兄という微笑ましい光景だが、二人の周りだけ気温が零下273度になっている。
大きな門を出ると、予約しておいたタクシーが待っていた。荷物を運転手に預け、さっさと乗り込
む。結局、兄と目を合わせることはなかった。スコットは小さく鼻で笑って、庭へと引き返す。
そして、Aに連絡をした。
「Hello.今港へ向かって、カレー行きの船乗るから。」
『は〜い。Arthur,vous parlez françai?』
「Oui,un pue.Je parle anglais,japonais et français.」
『Bravo!ちょっと発音怪しいけど、それだけ出来たら大丈夫ね。』
「一応辞書持ってきたんだが・・・いらねぇか?」
『辞書いるほどはいないでしょ。それに、いざとなったらフランシスさんに通訳頼めばいいし。』
「え?ちょそれどういう___」
「お客様、着きましたよ。」
運転手に言葉を遮られ、Au revoir!と電話は切れた。
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Freiheit@Ernst - お久しぶりです~第三弾楽しみにしてますね! (2014年8月17日 0時) (レス) id: 0dd1897602 (このIDを非表示/違反報告)
カオリ(プロフ) - レリゴー!さん» 最近ヘタリアグッズ少ないですよねー。もちピンズ買いに行こうと思ったらなかったんですよ…。 (2014年8月9日 19時) (携帯から) (レス) id: 40a6f8a3a7 (このIDを非表示/違反報告)
レリゴー! - 大好きだなんて、そんな・・・恐れ入ります、すみません///最近、アニメイト行ってもヘタリアグッズ少なくて悲しい(涙)なので、ここで発散してるのですが、ぶっちゃけ誰得なんだろこれって思ってました(笑)なのでとても嬉しいです! (2014年8月9日 17時) (レス) id: 9c6a128fd2 (このIDを非表示/違反報告)
カオリ(プロフ) - はじめまして!カオリと言います。この作品大好きです!ハリポタもヘタリアってもう私得過ぎます!更新頑張って下さいね! (2014年8月7日 15時) (携帯から) (レス) id: 40a6f8a3a7 (このIDを非表示/違反報告)
Freiheit - ギルくんだけでも(○_○)!!て感じなのにイヴァンさんも…だと!?あなたは私の脳をどうする気ですか!?どんどん出してください!!! (2014年7月30日 16時) (レス) id: 0dd1897602 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レリゴー! | 作成日時:2014年6月20日 17時