魔法学園ヘタリア〜A riddle of Jones〜

Episode 25 ページ27

「あの、父上、さっきのは・・・」

「ん？あぁ、気にするな。尤もらしい理由をつけるための出任せだ。」

出任せも何も図星だったから突っ込んだのだが、それ以上何か言うと殺されそうな雰囲気だったの

で取り敢えず黙るアーサー。因みに、先に入った四人はお喋りをしていたのでイライアスの出任せ

は聞いてない。

中の空気は黴臭く湿っていて、じっとり纏わり付くようで気持ち悪い。床の中央にはヘブライ語の

書かれた魔法陣。如何にも、という雰囲気だ。学校で習うちゃんとした魔法より、実はこういうオ

カルト的なものの方が好きなアーサーはワクドキして儀式の始まりを待った。

が、一向に始まる気配はない。

「おい、その儀式とやらはいつ始まるんだよ？」

痺れを切らしてギルが尋ねる。一番体力のないロディは既にへたり込んでいた。

「そんなものはありません。」

「え？」

「え？」

思わず言ってしまった一同に逆に驚くイライアス。

「え、ちょっと、どういうこと？」

「いえ、ですから、その様なものはないと言ったのですが。」

「その、儀式のためにここに連れて来たのではないのですか？」

「皆さんに極秘で会わせたい方がいらっしゃるので、儀式という名目でここにお連れしたのです

が。」

「じゃ、その入団の儀式ってのは？」

「やりませんよ。フリーメーソンとか薔薇十字団じゃあるまいし。」

普通分かるだろ、みたいな顔で言われても困る。雰囲気ありすぎだし、イギリスとかルーマニアで

あの手の冗談言われても納得しちゃうよ不思議だね。

と、アーサーの肘をAがつついた。

「薔薇十字団って何？」

「中世ヨーロッパの秘密結社だ。フリーメーソンに比べると大分マニアックだな。」

「それ知ってるってことは、イライアスさんオカルトとか秘密結社とか意外とそういうの好きなん

じゃない？」

「だろうな・・・」

否めないのが悲しい。だって息子の自分がそうなのだから、父親にだってそういう趣味がある可能

性は無きにしも非ず。

「その方はもうすぐ到着なさる。それまで、紅茶でもいかがですか？ダージリンやベルガモット等

がありますが。」

懐から短めの杖を取り出し一振りすると、テーブルと椅子とポット、茶葉、カップ、角砂糖、ミル

クが出て来た。カークランド親子が優雅な仕草で淹れていく。

そして、紅茶の香しい匂いが部屋に満たされたとき。

「遅れて済みません!!」

"姿現し"の派手な音がし、

本田菊が久しぶりに登場した。

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