魔法学園ヘタリア〜A riddle of Jones〜

Episode 20 ページ22

そして、約十日。ロスを出発してから約二週間、一行はまともに飲み食いせずにロンドン郊外へ到

着した。有り得ないよそんなの、とかいうツッコミは勘弁して下さい。

カークランド家の庭では、トウヘッドの大柄な少年が手を振っていた。何故か水道管を握ってい

る。

「こっちだよ〜！」

イヴァン・ヴァシーレウィチ・ブラギンスキだ。アーサーは叔母と従弟達を起こす。そうこうして

いるうちに、全員起きだした。ギルは気を抜いたら倒れてしまいそうだ。スコットはピンピンして

いる。

「凄いね、たった二週間で来るなんて。僕びっくりしたよ。」

ふわふわとした笑みを浮かべ一行を本部へ案内するイヴァンは胸のところに、不死鳥の刻まれたバ

ッジを付けていた。団員であるという証だのだが。

「お前が何でこっち側なんだよ？親父さんの味方しなくていいのか？」

当然ながら、この疑問が出てくる。ギルが尋ねると、イヴァンはうふっ、と笑って答えた。

「僕、あの人のこと嫌いだから。だって、そうでしょ？マグルは僕達魔法使いに支配されるべきだ

なんていう古すぎて化石なったような思想をいつまでも持ってるんだから。しかも実現できるって

本気で信じてるんだから、困っちゃうよね。コルコルコル」

謎の笑い声を上げながらニコニコと答えているが、内容は洒落にならない。ふわふわの笑顔が恐怖

を冗長させる。

「イライアスさん、連れて来たよ。」

「ありがとうございます、ミスター・ブラギンスキ。」

その声を聞いた瞬間、アーサーの表情が凍り付いた。スコットはそんな弟の表情を見て愉快そうに

ニヨニヨしている。歪みない。

「久しぶりだな、アーティー。息災か？」

高い鉤鼻に切れ長の碧眼。オールバックの金髪に太い眉。カークランド家当主、イライアス・カー

クランドだ。顔立ちは、スコットの方がよく似ている。

「はい、お父様。」

「後ろにいるのはフィアンセかしら？」

「違いますお母様。友達です。」

微笑みながらさり気なく妙な質問をしたのはリリー・ルーナ・カークランド＿＿ハリー・ポッター

の娘だ。翡翠の様な目がエリザを捉える。エリザは気づき、音がするくらい首を激しく振った。そ

してロディの腕に抱き付く。

「何でもいい。とにかく、今日はもう休みなさい。皆さんもお疲れでしょう。ヘンリー、トーマ

ス、寝室へ案内しなさい。」

「はい、お父様。」

イライアスからは何の説明もないまま、取り敢えず寝室に案内されたのだった。

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