魔法学園ヘタリア〜A riddle of Jones〜

Episode 18 ページ20

「取り敢えず、向こうに止めてある俺の車に乗って騎士団の本部へ向かうぞ。」

そう言って、スコットは手際よく女性陣を降ろして案内する。男共は自分で降りて勝手に付いて来

い、ということだろう。勿論、アーサーが混乱しない訳がない。

「ちょ、兄貴！何でここに！っつか騎士団って何だよ！？」

「貴様、それでも"あの"ハリー・ポッターの孫か？騎士団と言えば"不死鳥の騎士団"しかないだろ

うが愚か者め。」

「容赦ないですね・・・」

「いっそ清々しいぜ・・・」

当然ながらギルとロディは呆れている。他の面々(アーサーは慣れているので除く)も口には出さな

いが同じ感想だ。

「そういえば、アレックスさん、魔法省の人が"姿現し"で急に出て来ても全然吃驚してなかったわ

よね？マグルなのに。」

Aが言って、皆は気付いた。普通マグルなら、反応の大きさに個人差はあれど驚くはずであ

る。しかしアレックスは平然としていた。それは明らかにおかしい。

「さすがですミス・ヤナーチェク。うちの愚弟などより余程聡明でいらっしゃる。おまけにお美し

い。」

だが、スコットの態度の変わり具合の方がもっとおかしい。アーサー曰く、女性に対してはとても

丁寧な態度をとるのだとか。それが英国紳士の流儀というものだ、と譲らないらしい。

「さ、まずは女性の方達から。どうぞ。」

そう言って自身の車へ女性陣を優雅にエスコート。その気がなくてもドキドキしてしまう。

「"どんな時でもレディーファーストの精神は忘れるな"・・・カークランド家の家訓だ。」

「そんな家訓嫌だわ俺様。つか、英国紳士言うよりイタリア紳士じゃね？男には厳しいし。」

「それはスコットだけだ。親父とヘンリー(ウェールズ)、トーマス(北アイルランド)は誰に対して

も丁寧だぜ。俺を除けばな。」

アーサーとギルがげんなりしている横では

「中々いいですね。うちもそういう家訓作りましょうか。」

なんてことをロディが言っているのでますます溜息が深くなるアーサーだった。

「ほら、さっさと乗れ。」

もう運転席に乗り込んでいるスコットに最早何か言う気力もなく、男性陣は自分で車に乗り込ん

だ。因みに、この車にはちゃんとカーナビが付いている。それで操作をすると、外からは完全に見

えなくなるので安心して空を飛べるのだ。秘密の部屋で出て来たやつのパワーアップバージョンで

ある。

「しっかり掴まれ。」

エンジンがかかり、車は空へ向かって走り出した。

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