片恋電車２ *｡◯Sho.S*｡◯

｡◯38話*｡◯ ページ8

.





お風呂から上がって翔さんが準備してくれていた服に袖を通す。

少し大きくて、やっぱり男の人なんだなぁってドキドキ。



ふわっと香る、柔軟剤の香り。

翔さんの匂いかな？なんて熱くなる私は、ちょっと変態かもしれない。



まとめていた髪をおろしてリビングに戻ると

タオルを首にかけたままソファーでテレビを見る翔さんがいた。





A「翔さん？」

翔「ん？あ、使い方大丈夫だった？」

A「はい、ありがとうございました」

翔「…ん」





こっちを向いた翔さんの声が

少し、低くなって。



黙って暫く見つめられるから

何か変かな？と思って、髪を手でとかしてみる。



ギシッという音と共に、翔さんがソファーから立ち上がって

私の方まできて、目の前で立ち止まる。





翔「…髪」

A「え？」

翔「おろしてるの、初めて見た」

A「あ…そうですね、いつもくくってるので…」





すると、翔さんの手がゆっくり伸びてきて

私の髪を、スルッとすくう。



数秒の沈黙だったけど

時がゆっくりに感じて



憂いを帯びた翔さんの表情に

心臓がバクバク煩い。





翔「…俺も風呂、入ってこよっと」

A「あっ…はい」





翔さんの手が髪から離れると

そう言って私の横を通り過ぎていく翔さん。



び…びっくりした…

少し触れられるだけで、こんなにドキドキするなんて。



熱くなった頰を手で押さえていると

後ろから、あっという翔さんの声が聞こえて振り返る。





翔「そういや晩御飯、まだだよね？腹減ってない？」

A「あー…少しだけ」

翔「何かあったっけな…食材はあると思うんだけど」

A「えと…何か作っときましょうか？」

翔「え、マジ！？いいの！？」

A「簡単なものしか、作れないですけど…」

翔「俺なんでも食べるから！お願いしてい？」

A「わかりました」





やったぁ〜って嬉しそうにしながら

お風呂場の方に消えていく翔さん。



流れで言ってしまったけど…大丈夫かな。

まあいっか。

迷惑ばかりかけてるし、少しの恩返しって事で。




とりあえず、これまたモデルルームみたいなキッチンに向かう。

こっちは洗ってないお皿とかあるけれど、比較的綺麗で。

普段あまり料理しないのかな？




冷蔵庫の中をチェックしてみると

お肉に野菜…結構なんでもできそうな品揃え。

なんとなーく献立を決め…





ええいっ。

どうにでもなれ。←ヤケクソ

｡◯39話*｡◯→←｡◯37話*｡◯

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す