片恋電車２ *｡◯Sho.S*｡◯

｡◯56話*｡◯ ページ26

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A「何食べたいですか？」




翔さんの家に行く途中、車の中でそう聞いたら

翔さんの、うーんと悩む声がする。




翔「あ！グラタン！」

A「…シーフードグラタンとか？」

翔「最高、それ。俺シーフード大好き」




そうなんだ、と頭の中でメモする。



食材を買うために途中スーパーに寄って

家に着いて直ぐに、調理を開始。



おろしていた髪をくくって

スマホのレシピをチェックしていると




翔「あちー」




シャワーを浴びてきた翔さんが来て

私を見て、あって言う。



また暫く覗いて動かないから

チラッと視線を送ると、目が合った。





翔「…やっぱ見てるのダメ？」

A「ダメです。からかうのも禁止です」

翔「キビシー！(笑)」





翔さんがちょっとふざけながら頭を抱えて

今日は大人しく退散していった。




料理中も、キッチンからチラッと翔さんが見えるんだけど

新聞を読んでる横顔が、とても綺麗で

見ていたい衝動と葛藤。




奥さんだったら毎日こんな景色を見れるのかな。

……なんて、何考えてんだ。この身の程知らずめ。





翔「あれ？もう出来た？」

A「今焼いてるとこなので、もうすぐです」





オーブンに入れてやる事がなくなった私は

翔さんの隣に座って、お茶を口にする。



すると、翔さんがちょいちょいと手招きするから

はてなを浮かべながら近くと



翔さんの、手が伸びて来て

大きな手で頭をポンポンされる。





翔「休日に一緒にいるの、初めてだね？」

A「そ、うですね…」





全神経が翔さんの手に集中しているから

とてもぎこちない返事。




翔さんの手がだんだん後頭部に移ったかと思うと

ひとつにくくっていた髪を、パサっと解かれた。





A「えっ」

翔「おろしてる方が、好き」

A「っ！//」





たまに聞く、翔さんの低い声。

男の人って感じで、いつもと違くて、しかも不意打ちで




わかりやすく顔が赤くなるのを感じていると

翔さんの手が、私の髪をスッととかす。




翔さんの手は、いつも優しくて

触られるたび胸がきゅーっと苦しくなる。





翔「ずっと髪長いの？」

A「中学までは短かったんですけど、それ以来ロングですかね」

翔「そーなんだ。短いのも見たいけど…悩むな！」

A「なんで翔さんが悩んでるんですか(笑)」

翔「でも俺、長い派かな」






切るつもりなかったけど

そんなこと言われたから、尚更切れなくなっちゃった。

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