片恋電車２ *｡◯Sho.S*｡◯

｡◯54話*｡◯ ページ24

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ある日の夜。


翔さんとご飯の後

2人で一緒に帰ってる時のこと。




A「すみません、送ってもらっちゃって…」

翔「いーえ。てか送らせてって言ったの俺だし」




私の最寄駅に着いて、そんな会話をしながら

私の家まで歩いていた。





翔「…あっ」

A「？」

翔「はい。」





そうおもむろに私の前に出されたのは

翔さんの左手。


え？と困惑していると

翔さんがもう一回、んっ！とそれを突き出す。




翔「早く、手！」

A「…えっ…//」

翔「ずっとこうしてんの、恥ずかしいんだけど！(笑)」




そう促されて、恐る恐る手を取ると

翔さんは満足げに笑ってまた歩き出した。




その笑顔に

キュンッとしたのは言うまでもない。




初めて触れる、翔さんの手。

大きくてがっしりしてて、やっぱり男の人なんだなぁってドキドキ。

繋いだ手から、鼓動が伝わらないか不安になる。




こう言う時に限って帰り道はとても短く感じ

あっという間に家に着く。




A「ありがとうございました」

翔「ん。またね」

A「…はい」




家のそばで、離れてしまった手に

少しシュンとしていると

帰ろうとした翔さんが、あっ。と振り返る。




翔「忘れてた」ｸﾞｲｯ

A「えっ？」





気づいたら翔さんに腕を掴まれて

人気の少ない細道に引き寄せられて。



電柱の影に、追いやられ




チュッ


A「…っ！」




短いキスを

一つ落とされる。




翔「じゃあね」

A「〜っ！！//」




満足そうに微笑む彼に

反撃する言葉が見つからない。




何も言えないまま、翔さんは背を向けて帰って行って

バクバクいってる胸を抑えながら、溜息をひとつつく。




あの一件以来

少しだけ、スキンシップが増えたよう。




それは決まって、飲んだ後だから

そのせいなのかな？と思う。




翔さんにとっては、なんでもない事だろうけど

私にとっては違うのに。






A「はぁ…帰ろ」






そう思って、家のドアの前に立って

ガチャガチャッと鍵穴に鍵を差し込む。



あぁ、心臓が疲れた。

早く寝よう。



そう思って開いたドアの中に入って

秒でお風呂を済ませて、布団にダイブする。




仰向けで、天井にぶら下がっている

照明を見ながら、ぼーっと翔さんを思い浮かべる。




…翔さんは

他の子にも、あぁやって触れているのかな。





考えるだけで胸が張り裂けそうだったから

考えるのをやめて、目を閉じた。

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