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「そうですか...。いえ、ありがとうございました」
また、だめだった。
この不況の中、大学を卒業していても就職先が見つからない。
もうあたしだって23歳なのに…。
母「Aー！ちょっと下りてきてー！」
「わかったー！」
１階に下りて、お母さんが座っていた席の前に座った。
母「…また、だめだったの？」
「えっ？」
母「顔に書いてあるわよ」
「あ、あぁ…うん」
顔に出てたんだ。
母「あのね、A。Aがよかったらでいいんだけど、マネージャーの仕事とかに興味ある？」
「マネージャー？」
母「お母さんの仕事の知り合いの人の事務所のマネージャーさんが移動になっちゃったらしくてね、今新しいマネージャーさんを探してるらしいんだけどなかなか見つからないらしいの」
あたしのお母さんは結構有名な編集社の編集長。
有名人とか芸能人とかとたくさん会ったこともあって、あたしも何回か会ったことがある。
あたしのお父さんはアメリカで単身赴任中。
母「で、１週間くらい前に言われたのよ、『誰か持ってきてくれないかな』って。だから、Aにどうかなって」
「でも、あたしなんかに務まるかな」
母「うーん、お母さんもAに言うかどうか迷ったんだけど、とりあえずやってみたらいいんじゃないかな」
「…うん、じゃあ話だけでも聞いてみる」
母「じゃあ、これ住所ね」
お母さんは小さな紙切れをくれた。
母「こんな時間にごめんね。じゃあ早速明日にでも行ってみなさいね。今日はもう寝なさい、おやすみ」
「うん、おやすみ」
２階の自分の部屋に入って、その日はすぐ寝た。
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作者名：奈央 | 作成日時：2010年7月20日 18時
