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46話 ページ2

[アビス・レイザーside]
(!!っしまった。転んだ拍子に仮面が…!)

他寮の生徒を狙って級硬貨(コイン)狩りをしている様子を
見知らぬアドラ寮の女子生徒に見られてしまった。

下手に騒がれると面倒なので、口封じのために剣を引き抜こうと思った瞬間
どうやら変な勘違いをされてしまったらしい。
…口封じってそう言う意味じゃありませんからね。

自分の女性への免疫がないことは重々自覚をしていたが、つい動揺して転んでしまった。
そのせいであの”忌々しい瞳”を見られてしまったわけだ。
不運なことに今夜は満月。顔を照らす光は十分、



ああ、

またあの蔑まれる表情を向けられる。

嫌だ。

あの日の母の顔を思い出してしまう。

だから女性は苦手なんだ。


うまく立てない。息が浅くなるのを感じる。

(お願いだ。早くどこかへ行ってくれ。)

嫌なトラウマのせいで動けずにいると、
その女子生徒は何故か、その場から離れることはなかった。

むしろ、それどころか私の側にきてしゃがみ込む。
一体何をする気だ。

震える手で無理やり近くに落とした剣を握る。
無駄に殺生をする趣味はないが仕方ない。いつでも斬り殺す準備はできた。
そう殺意を示したつもりだったが、逃げ惑うことなく女子生徒は私に声をかけてくる。

「大丈夫ですよ。落ち着いてください。
仮面はつけますか?
はい、どうぞ。
息はゆっくりしてください。
そう、上手ですね。」

今の今まで斬り殺そうとしてきた相手を心配しているのか?

だが不思議と、その落ち着いた声色のおかげで浅くなった息が戻っていく。

おかしい。まさかこの左目のことを知らないとでも言うのか。

彼女が私に声をかけ始めて数分。
すっかり落ち着いてきた私は、
この意思の読めない行動が気になり、つい聞いてしまった。

『………あ、あなた、この瞳のことを知らないのですか。』

「…イヴル・アイって言うんですよね。本を読んで知りました。
生で見たのは初めてですが。」

この瞳の正体を知っていればあんな行動を取るはずがない。
そう思っていたが、まさかの予想が裏切られてしまった。

『じゃあ、な、なぜ知っていて、わ、私を蔑まないのですか!?』

普段の自分であれば女子と話すことさえままならないのに、
頭に残る疑問と怒りの衝動のようなもののせいで口が勝手に動く。

今まで向けられたことのない優しさに困惑してしまい、
それと同時に苛立ちがつのった。

47話→←45話【吸魂鬼のキス?】



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作品ジャンル:ギャグ
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あいうえお - 続きが…みたい… (4月9日 11時) (レス) id: 7f90ae69cf (このIDを非表示/違反報告)
シア(プロフ) - 続きお願いします! (4月3日 8時) (レス) id: 38b8a932a2 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃむ - 新たなるお兄様に早く会いたい…次はどんなキャラクターにするのか楽しみに待ってます!!やっぱりシスコン系かな…?あと77話の最後のほうにグレアって書いてあるのは誤字ですか? (3月14日 22時) (レス) @page35 id: b02cacdca3 (このIDを非表示/違反報告)
れむぴー+。.??°*(プロフ) - なんですか?これは!!!!神作じゃないですか!!最高です!更新お待ちしております! (3月10日 14時) (レス) id: dc67ab63a0 (このIDを非表示/違反報告)
イヴ(プロフ) - イラストは可愛い ストーリーは面白い 久しぶりに神作に出逢いました。ちゅきです!これからも応援しています! (3月9日 0時) (レス) id: fd38ddb771 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:aramaki | 作成日時:2024年2月17日 4時

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