15話 ページ16
[ランス・クラウンside]
俺は杖を握る手が無意識に震えていることに気がついた。
これは武者震いからなのか、
見えないライバル達への恐怖からなのか
理解しようとするが頭がモヤモヤとした何かで埋め尽くされそうになる。
「大丈夫ですか?クラウンさん。」
『.........あ?あぁ。』
急に声をかけられ反応が遅れる。
声の主はA・マドル。
彼女とは先日知り合ったばかりで、命より大事な妹のペンダントをうっかり置き忘れてしまったところ、わざわざ届けてくれたのがきっかけだった。
自分の焦りを悟られまいと、平常を保つ。
彼女とは妹の尊さについて(一方的に)語り合ったが、それ以上の事情については教えていない。教えない。
まるで野心のない彼女であっても、あのマドル家の人間だ。何を考えているかわかったものでは無い。
絶対に自分の弱みを見せてはダメだ。
そう考えていると、
サスサスサスサスサス
まるで子供をあやすかのように
何故か彼女に背中をさすられていた。
「…失敗や不安を考えたところで、解決することなんて
残念ながら1つもないもんですよ。
それよりかは案外行き当たりばったりくらいの気持ちの方が健康にいいんだそうです………。
というか、今のクラウンさんの成績ダントツ1位なので手放しで喜んどいてくださいよ。そうじゃないと私が惨めなので。」
予想打にもしなかった言葉に驚いてしまった。
時折彼女からは同い年とは思えない大人びた雰囲気と安心感を感じる時がある。
だが、その諭すような、勇気づけているような言葉に
今は少し心が救われたような気がした。
家を出てきてから数年、久しぶりに子供扱いをされたような気がする。自分がまだ16のガキだということを思い出した。
『……ふふっ、そうだな。
俺も無闇な心配をするほどバカじゃない。
だがお前はもう少し自分を心配した方がいい。
今のところ成績はギリギリじゃないか。』
「…普通今の流れでそれ言います?」
ランス・クラウンは名家の生まれで、容姿端麗。
二線魔道士のエリートであり、
不器用かつ無愛想な男。
そのため勘違いされやすい性格であり、
近づく者は皆下心をもち擦り寄るか、
彼に嫉妬心をもち、害なす者ばかりであった。
そのためこれまでの人生、
ほぼ「友達」と呼べるような関係
の人間ができたためしがない。
しかし、そんな彼に生まれて初めて
間違いなく「友達」と呼べるような
相手ができた瞬間であった。
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さんぽ - 絵がとてもかわゆい、、、ありがたや (2月25日 11時) (レス) @page27 id: 5b6dadf86c (このIDを非表示/違反報告)
柏餅(プロフ) - 絵が神ィィ (2月15日 19時) (レス) @page50 id: 55951e8f98 (このIDを非表示/違反報告)
柏餅(プロフ) - 迷惑コメント作戦神すぎますw (2月15日 19時) (レス) @page49 id: 55951e8f98 (このIDを非表示/違反報告)
柏餅(プロフ) - パッフルパフリストラされてるって言うの好きすぎますwwww (2月15日 19時) (レス) @page48 id: 55951e8f98 (このIDを非表示/違反報告)
左右田湊翔(プロフ) - わぁお絵が上手すぎる、、、、これはめしうまです (2月15日 16時) (レス) @page50 id: a4020dc7dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:aramaki | 作成日時:2024年1月29日 20時