特別扱い【東堂尽八】

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「…嘘、ついてごめん。」




はらはらと落ちる言葉は私を蝕んで行く。でもそれは私への代償。
彼を傷付け、悩ませた代償でしかない。




「他校の彼氏なんて居ない、ずっと。尽八のファンが羨ましくて…私には指差してなんてくれないし、どんどん変わっていっちゃって、わっ、」


東「それは…嫉妬、と捉えて良いのか？」





俗に言う、嫉妬なんだろう。
他の人に取られたくない、と思うのは。





「…そう、だと思う。」


東「俺も、Aを取られたくない。」


「私も、取られたく、ない。」


東「…似た者同士、と言うことか。」





彼が私の前で笑ったのはいつぶりだろう。



高校に入ってから、こんな顔見て来なかった気がするんだ。
こんなに優しくて、温かい顔を。




東「付き合って、くれるか？」


「…うん、もちろん。」




彼の腕の中は、もっと優しくて温かい。
やっと自分の傍に来てくれた。




「好きだよ、尽八。」





本当に遠回りしすぎたね、私達。


もっと早くに気付いていれば、早くに幸せになれたのにね。
私が我儘で不器用で、あんな嘘付いたからだ。





東「やっと…やっとだ。」





ゆっくりと触れた唇は、前の彼らしくない荒々しいものでは無かった。
やっぱり優しくて繊細でそれでいて気品もある、そんなキスだった。





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