特別扱い【東堂尽八】

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結局返せず手元にある現代文の教科書。



突き返してでも持っていけと言えば良かったのに。
それが出来なかったのはまた会いたいと思うからだ。


私が彼を突き放したくせに、今更すぎる。




でもきっと、あんなことをファンの子にはしない。押し倒して、首を這って、キスをするような真似はしない。そんなこと…するわけがない。



私は、彼の…特別？



尽八の特別に、何年なりたいと思ってきただろう。それなのに私は嘘をついた。


特別に絶対になれない、残酷な嘘を。




私の首の黒子の隣には、さっき彼が付けたキスマーク。
嫌でも見える、こんな場所。




＿＿＿東『似合っているではないか。』





痛みの後、此処を指しながら彼はそう言った。私に似合っていると。
キスマークを付けるなんて…独占欲？にしても何の。



私はあんな嘘言って、尽八はファンの子ばかり相手にするようになって…。
東堂様、って声すら嫌になって。


一時幼馴染だと言う話題は私を苦しめたけど、あの一件以来あまりにも私と彼が話さなくなったからその話題は知らぬ間に消えていった。




平等に彼はファンサービスをする。指を指して、名前を呼んで、それを披露する。
一年半、そうであったのに、今更。





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