No.20 ページ20
【SHO】
揃ってそっちを見ると、今も体が小さい双子とは対照的に同級生の中でかなり大きい男の子達3人。
その子達が和也くんを押して、智くんも一緒に転んでしまったらしい。
智くんは優しく和也くんを抱き起こしてた。
智「なにすんだよ！
やめろよ！」
いつもは舌っ足らずで可愛い智くんは、大切な人のことになると容赦しない。
…何回か見てきたけど。
結構怖いと思う。
それでも、俺が喧嘩に口出しするのもどうかと思って最初はちょっと見ちゃってた。
…でも。
双子の後ろを見た瞬間、凍りついた。
2人の後ろには、3階分位ある長い階段。
普段はあそこは近づいちゃいけないことになってて、送り迎えの時間以外は閉鎖されてるんだ。
今はまさにその『お迎え』の時間。
和也くんを守るのに必死な智くんは、それに気づかない。
ここからはちょっと距離がある。
2人が立ち上がるまではほんの少し。
…間に合わない。
櫻「くっそ…！」
…俺だってな、走れるっちゃ走れるんだよ。
義足、舐めんな。
とにかく、急がなきゃと思った。
俺の脚がどうなったって、あの子達の命には代えられない。
あと少し。
あと少し…！
2人が立ち上がる。
男の子達が、いっせいに手を伸ばす…。
…あと、1歩。
2人の体が空中に舞う。
軽い体が、宙を舞う…。
櫻「…っ、ダメだ、やめろっ！！」
男の子達まで階段の下に落ちないように。
でも蹴散らして、空に舞う2人の華奢な体を掴んで、自分の着ていた上着の中に体をしまい込む。
見える景色全てが、スローモーションみたい。
2人の口が、『翔ちゃん』『翔くん』と動いた気がして、必死になって笑いかけた。
…と同時に、ひどい衝撃が俺の背中に駆け巡る。
櫻「…っう、あっ…！」
ゴムまりみたいに階段を転げ落ちてるのが分かる。
どうにか、2人だけは守らないと…！
あの優しい相葉ちゃんが…。
愛する奥さんを失って、その上そこへ遺された最愛の息子達まで失ったら…？
彼は、どうなってしまうんだろう。
…それだけは、避けなきゃ。
俺が、死ぬ気で守らなきゃ…。
頭の中に残っていたのはそれだけで。
とにかく、2人を無事なまま家に返してあげたかった。
もう意識なんて朦朧として、何もわからなかった。
…どれくらい、落ちたんだろう。
気がつけば、もう平坦になった道を転がってた。
言うことを聞かない俺の体は、2人を見ることも許さずに目を閉じた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 317人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
智宮SK(プロフ) - (名前)ゆぃ@あらしっくす←さん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて、嬉しい限りです。色々な試練もありますが、暖かく乗り越えていけるようなそうな作品にしていきたいと考えております。これからもどうぞよろしくお願いします！ (2019年1月20日 15時) (
レス) id: 5c0a0b0fa2 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ゆぃ@あらしっくす←(プロフ) - 智宮SKさん、いつも更新楽しみにしています！設定も内容もものすごく良くて、本編の方もこちらの方も大好きです。語彙力低くてすみません(笑)これからも更新楽しみにしています！陰ながら応援しています。 (2019年1月20日 0時) (レス) id: 8d153c8151 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くろしば | 作成日時：2019年1月6日 1時
