Lupinus (ページ10)

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涼｢だいちゃん…ぐすん…っ、ごめんね…けほ！｣

大｢泣いたらまた苦しくなっちゃうよ？｣

数分後発作は落ち着いたけど謝り続けて泣き止まない涼介はきっと何か罪悪感があるんだろ。

まぁ双子の弟の考えてることなんて何となくわかるんだけど……

とりあえず理由が分かってきた今、込み上げてくる苛立ちを抑えて優しく聞いてみる。

大｢ねぇ、なんで窓開いてたの？｣

お薬を持っていない手で涼介の背中をさすってあげていたけど僕が聞きたかったことを聞いてみるとビクリと一瞬震える背中。

涼｢…っ、りょうが開けたの……もうちょっと近くで見たくて…｣

やっぱり…。
しっかり鍵を閉めていた窓が勝手に開くわけがないもん。

大｢そっか…｣

涼｢ごめんなさい…りょうのせいでだいちゃんが作ってくれた雪だるま溶けちゃった……うぅ…っ｣

涼介にそう言われさっき作った雪だるまを思い出した。
申し訳ないけど発作に驚いて完全に忘れてたな…。

お皿の上でほとんど水になっててちょっぴり悲しかったけど。

大｢そんなの気にしなくていいよ、もう…心配したんだから…｣

涼｢…っ、ごめんなさい…｣

大｢でも僕だけずるかったよね…｣

涼｢…え？｣

大｢ごめんね、涼介は出られないのに僕だけ外出て…｣

涼介が約束を守れなかったのは、きっと僕だけが外に出て羨ましかったからだ。

僕は正直怖かった。
今回は発作が治まったから良かったけど、危ない状態になっていた可能性もあるかもしれない。

だからこそ安心して涙の跡が残る涼介を強く抱き締めた。

涼｢んん…苦しいよぉ…｣

大｢あぁ！ごめんね！｣

数時間後すっかり元気になった涼介はさっきからずっと窓の外を眺めている。

大｢まだ見てたの？｣

涼｢りょうの初雪だもん、ずっと見てても飽きない！｣

随分気に入ったみたい。
苦しいこともあったけど早く父さん母さんに報告したいな…

僕も涼介の隣に座って同じ景色を心に刻む。
涼介の目にはどんな風に見えているのかな。

まるで涼介に送られた冬の贈り物。
僕にはそう見えた。

Fin.

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