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大「…ごめん、俺何も出来なかった。」
宏「そんな事ないよ。大貴の応急処置のおかげで助かったって先生言ってた」
真っ白な病院のベッドで発作が落ち着き眠る涼介の隣に座っている俺と父さんのぎこちない空間。
俺は規則的に口元の酸素マスクが曇る涼介をみて少しだけ心を落ち着かせていた。
大「俺のおかげ…」
宏「うん。もう少し発作が酷くなってたら危ないところだったって…」
危ないところだった。か…
ほっと肩を撫で下ろし、しばらくは病院特有の機械音だけが流れる時間が続く。
大「ねぇ、父さん。」
そして先に流れを変えたのは俺だった。
宏「なに?」
大「俺ずっと寂しかったのかも。」
いつもの俺なら絶対に言えなかった本音。
涼介が発作を起こしたら父さんが涼介に付きっきりでひとりぼっちが寂しかったこと。
涼介が居なくなるのが怖くて泣いていたこと。
そして、悲しい想いをしたくないからいつも距離を置いていたこと。
……やっと全部言えた。
大「さっきは酷いこと言ってほんとにごめんなさい…」
宏「父さんこそごめんね。大貴の気持ち全然分かってやれなかった」
お互いの精一杯の「ごめんなさい」をぶつけ合う。
大「…うっ……っぅ、」
その瞬間心の糸がプツンと切れたかのように泣いた。
父さんの腕の中で涼介を起こしてしまわないように静かに泣いた。
それと同時にずっと抱えていた心の中の異物が溶けたような気がした。
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作者名:はな | 作成日時:2021年12月27日 18時