* ページ14
・
宏「ご飯出来てるよ」
大「…いらない」
若干傷つく言葉が返ってきて俺は動揺しつつ優しく言葉をかけてみる。
いつもなら拒否されると諦めてしまうけど俺の帰りが遅くて3人で晩ご飯を食べられる機会なんてないから。
涼介のために仕事を早退したことを少しはポジティブに考えて今日は諦めないで声を届けてみる。
宏「俺が作ったから味は保証出来ないけどさ〜」
ちょっとだけ笑いを取りに行ったけど……
やっぱり大貴は無言。
宏「…たまには3人で食べようよ、ね?」
大「だからいいって、俺受験勉強しなきゃいけないから」
宏「息抜きも大事じゃない?きっと涼介も喜ぶと思うよ」
俺にとっては大貴を説得するための何気ない言葉だった。
しかし何かが大貴の心を刺激させてしまったのだろう。
大「…なんだよ…父さんは涼介に構いすぎなんだよ、!」
大貴はリビングの扉の前で急に立ち止まり、顔も見せずにその言葉だけを放ちおそらく自分の部屋へ向かった。
俺はその瞬間何も考えられなくなった。
涼「……大ちゃん…。」
更に寝ていたはずの涼介の小さな声が耳に入り血の気が引く。
……最悪の展開だ。
宏「涼介?!起きてたの…?」
涼「…ごめんなさい、僕のせいで父さんが怒られちゃったね…」
涼介はすぐに思い詰めてしまう性格。
案の定、目に涙を浮かべてまた「ごめんなさい」を口に出した。
宏「謝らないで、涼介は何も悪くない」
涼「…っ、でも…」
宏「泣かないの。発作起きちゃうでしょ?」
涼介の病気はストレスでも発作を誘発させてしまう。
熱にストレスという涼介にとっての大敵が揃っていてはダメだ。
俺はとりあえず目の前にいる涼介の慰めをするが、大貴のことが気になって仕方がなかった。
『涼介に構いすぎ』
その言葉が頭から離れない。
大貴は今までも反抗的な態度を取って俺を怒らせたことがあったが、今回ばかりはかける言葉が見つからなかった。
きっと大貴はずっと我慢してた感情が爆発してしまったんだ。
どうすれば良かったのかな。
俺はもっと大貴のことを知りたい。
・
122人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はな | 作成日時:2021年12月27日 18時